イナス幅が小さく、東日本大震災からの順調な回復を示したが、市場の反応は鈍い。株価
の急落で消費マインドが落ち込んでおり、ロイター/ミシガン大学の8月米消費者信頼感
指数が約30年ぶりの低水準となるなど、外需の先行きに警戒感が強まっているためだ。
リスクオフの流れが一巡したとしても、米消費が下振れれば、株価やドルなどの上値は重
くなるとみられている。
<米消費落ち込みを警戒>
4─6月期実質GDPは3期連続のマイナス成長となったが、前期比マイナス0.3%
と市場予想(マイナス0.7%)よりもマイナス幅が小さかった。自粛ムードが徐々に和
らいできたことで消費の落ち込みが少なかったほか、民間在庫投資もサプライチェーンの
寸断で生産が大きく落ち込んだ前期の反動増でプラスに寄与するなど震災からの立ち直り
が示された結果となった。
ただ市場の反応は鈍く、午前の日経平均.N225 は3日ぶりに反発したものの、徐々に
上げ幅を縮小する展開。商いは薄いが「CTA(商品投資顧問業者)やヘッジファンドな
どの短期筋が9000円より上で売っている」(外資系証券トレーダー)という。円債先
物は小幅ながらプラスとなり、リスクに対するマーケットの慎重ムードは続いている。
市場が警戒感を強めているのは米消費動向だ。7月の米小売売上高は前月比0.5%増
と今年3月以来の大きな伸びとなったが、株価の急落で「逆資産効果」が働く可能性があ
るほか、先行きの不透明感の強まりが消費を抑えると懸念されている。
ロイター/ミシガン大学の8月米消費者信頼感指数(速報値)は54.9で、前月の
63.7から大幅に悪化。1980年5月以降、約30年ぶりの低水準となった。
1987年のブラックマンデーや2001年の米同時多発攻撃、2008年のリーマンシ
ョックなどの後よりも厳しい消費マインドの落ち込みに市場の懸念は強まっている。
失業率の高止まりや賃金の停滞に加え、米債務問題をめぐる政治の混乱が消費者信頼感
を圧迫したとみられており、オバマ政権の評価については、否定的にとらえる回答が全体
の61%を占め、歴代政権の評価としては過去最悪となった。
シティグループ証券エコノミストの村嶋帰一氏は消費者信頼感指数の低下が消費減少に
直結するかはわからないとしながらも「最近の株式相場の下落は、家計の純資産価値の減
少を通じて貯蓄率を押し上げ、個人消費を下押しする公算が大きい」と指摘している。
リスクオフの動きは一巡しており、自律反発的な動きが出る可能性もあるが、米経済へ
の不安が強いなかでは株価などの上値は重いとの見方が多い。
<薄商いの円債市場>
午前の円債市場は前週末の米債高を受け、国債先物は小高く寄り付いたものの、積極的
な買い材料に欠ける中で、すぐにマイナス圏に転落。その後、プラス圏に再浮上したもの
の、方向感に乏しい展開が続き、値幅は10銭にとどまった。週明けに加え、夏季休暇に
入ったマーケット参加者も多く、出来高は5000億円に届かなかった。
現物債の取引も盛り上がりに欠けた。その中で、10年ゾーンはしっかり。同ゾーンを
めぐっては、官庁系の存在が買い安心感を誘っている、との見方が出ていた。
円債市場をめぐっては、海外金利の低下を受け、買いが先行するものの、その後は益出
し売りで値を消す展開が続いている。日銀の一連の緩和措置を織り込んだ中短期ゾーンの
金利低下余地が限られる中で、長期金利もすでに1%近辺まで低下していることから、投
資家は上値追いに慎重だ。
SMBC日興証券マーケットアナリスト、土井俊祐氏は円金利が米金利に追随しない理
由について「昨年のブルフラットから金利が急上昇した経験が金利低下抑制に寄与してい
る可能性がある」と指摘。その上で「ファンダメンタルズでみても、世界経済の先行きは
怪しくなっているが、日本は震災の復旧・復興の内需が期待できる。財政も世界的には削
減する方向にあるが、日本はある程度出さないといけない。このあたりの方向性の違いも
ある」との見方を示している。
こうした状況は、ロイターが実施した週次JGB調査(第8回)結果にも表れている。
今週末の長期金利が先週末と比較して「横ばい」と予想する市場参加者は53.4%とも
っとも多かった。「低下」から「上昇」を差し引いた、市場の強弱感を示すブルベア指数
JGBBBI=はプラス26からプラス12に低下。米金利が低下する中での「横ばい」予想
は、上値の重さを反映したものと言えそうだ。
<外為市場でも短期筋中心の動き>
外為市場も薄商い。午前のドル/円は76円後半で底堅い動き。夏季休暇で本邦実需勢
の参加が細る中、海外短期筋によるドル/円、クロス円の買い戻しが目立った。スイス国
立銀行(中央銀行、SNB)がユーロ/スイスフランの相場について下限の設定を検討し
ているとのスイス地元紙の報道を受け、ドル/スイス、ユーロ/スイスがショート・カバ
ーで急伸。 ドル/スイスの上昇がドル/円の下値を支えた、との意見も出ていた。
ドルは朝方の安値76.79円付近から77.10円まで上値を伸ばした。ユーロ/円
も109.53円付近から110.27円まで上昇した。「株価が戻ったので、リスクオ
ンということで、豪ドル/円などをいったん買い戻す動きが出ている」(ファンド・マネ
ージャー)という。豪ドル/円は79円半ばの安値から80円前半まで上値を伸ばした。
豪ドルは前週、株価の乱高下とリスク回避の広がりから急落し、投機筋や個人投資家も
ロング・ポジションの圧縮を余儀なくされ、対ドルでパリティを割り込む場面も見られた。
しかし、豪ドルはこの日、再び堅調な足取りを見せた。
「豪ドルの過熱感は収まってきている。世界景気が下振れし、豪州の利下げ余地が現実
味を帯びるという事態にならない限りは、豪ドルが再びパリティを割り込むことはないだ
ろう」と野村証券金融市場調査部・為替ストラテジストの高田将成氏は述べている。
ユーロは1.1270スイスフラン付近。スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が、ス
イスフランの対ユーロ相場に目標を導入する協議を行っているとのスイスのソンタング・
ツァイトゥング紙の報道を受け、一時1.13スイスフランまで上昇した。スイスフラン
/円CHFJPY=Rは朝方の高値98.30円付近から一時97.17円付近まで下落した。