元日にソデグロヅルを見て、


貴重な鳥なので、2月になってまた見たくなり何度か探しに行った。

 

前にいた場所にいないので、SNSにあがった写真の背景の情報と地図をにらめっこして場所を特定しようとする。

 

もしかしてここかな、と思う場所を探していたが見つからなかった。

 

見つからない、ということをブログに書いたら、Rさんが場所を教えてくれた。

 

いつも貴重な情報を与えていただきありがたい。

 

その情報によると、自分は広範囲に探し過ぎていた。

 

前にいた場所からそんなには離れていなかった。

 

しかも、近くを何度か通っていたのにな。

 

 

ソデグロヅルはすぐに見つかった。

 

車で近づくと、カメラマンもたくさんいた。

 

しかもみんな車から降りて、ツルの動きに合わせて小走りに移動している。

 

いいのか。 マナー違反じゃないんか。

 

自分が侵入した農道は、カメラマンがツルを写そうとすると、

 

もしかして自分の車が写り込んでしまう場所。

 

迷惑かな。

 

でもこのまま進むとツルに近づきすぎてしまう。

 

停車してエンジンを切り、外に出て車の後ろから隠れるようにしてツルにカメラを向けた。

 

ソデグロヅルが田から道に上がった。

 

カメラマンたちは上の写真の右奥にたくさんいる。

 

みんな三脚を据えていたのだが、その三脚ごとカメラを抱えて小走りにツルを追う。

 

 

エイっと飛んで着地。

 

 

この時で距離は50mぐらいかな。

 

写真は全てトリミングしてる。

 

自分はツルを驚かさないようにしゃがんで観察してた。

 

ところがカメラマンたち(7~8人)はツルから最短距離の20mぐらいのところに三脚を据えた。

 

しかしソデグロヅルはカメラマンを気にする様子がない。

 

すっかり人馴れしてしまったようだ。

 

ソデグロヅルの方からカメラマンの方に寄って行く。

 

10mぐらいまで近づいたかな、とその時は思っていたが、写真で見ると5mぐらいかもしれない。

 

自分は、ソデグロヅルがあっちを向いた時に少し近づきしゃがむ、をくり返し、

 

35mぐらいまで寄った。

 

いいのかな。

 

自分がしゃがんでいる意味はほぼない。

 

三脚を据えて立っているカメラマンが近くにたくさんいるのだから。

 

ツルが歩き出す。

 

また少し近くなった。

 

近くにセグロセキレイが来てこちらを見てる。

 

ずっと土の中に嘴をつっこんで何かを探していたツルは、片足立ちになり体のメンテナンスを始めた。

 

その場で見ている時は、体がどうなってるのか分からないことも。

 

写真で見てやっと認識。

 

 

セグロセキレイも近づいて来る。

 

ここにいる鳥たちはフレンドリーだな。

 

 

おばさまが1人「ゆめちゃん、ゆめちゃん」と言いながら、

 

最短距離のところに行く。

 

そんなことしていいのだろうか。

 

何度も何度も呼びかける。

 

でもソデグロヅルは知らん顔。

 

あとである方からSNSに連絡をもらったのだが、

 

呼びかけていた方はソデグロヅルの第一発見者で、

 

この方が「ゆめちゃん」と名付けたそうだ。

 

翼の先の黒い部分がはっきりと見えた。

 

もうこれで満足。

 

 

 

スケートしてるみたい。

 

 

クマに出会ってしまった時のように、驚かさないようにツルの方に顔を向けたまま、

 

後ずさりしながら車に戻った。

 

ほとんど意味はないが。

 

だってもっともっと近くで「ゆめちゃん、ゆめちゃん」と大きな声で呼びかけるおばさまや、でかいカメラとレンズがたくさんツルを狙っているのだから。

 

自分がどう去ろうとツルは気にしないだろう。

 

こういう希少な鳥を前にして、どう振舞えばいいのかよく分からない。

 

みんなと同じように行動すればいいんだろうけど、

 

野性の動物にこちらから近づきすぎるのは良くない気がする。

 

向こうから寄って来るぶんにはいいと思うんだけど。

 

 

難しいわ。 

 

自分は最短30mぐらいだったかな。

 

それでも近すぎると思っていた。

 

 

世界に3000羽ほどしかいなくて、

 

日本に来ることは少ないという野性のソデグロヅルに福井で会えるのはこれが最後かもしれない。

 

しかもフレンドリーな個体で、いい時間を過ごすことができた。

 

おしまい。