コウノトリ、ナベヅルと、過去に情報をいただいていたRさんからヤツガシラが来ていると教えてもらった。
情報をいただいた時には、あと2日ほどでぬけてしまうかも、ということだった。
連絡をもらった当日と次の日には行けず、2日後に30分ぐらいの時間ができて行ってみた。
海辺に車を停めて歩く。 人が集まっているところがないか気をつけながら。
遊んでいる家族はいるが、撮影をしている人は見当たらない。
公園の端っこまで来てしまった。
ぬけたんかもな・・・。
山桜かな。 真っ白な花をつけている。
こっちは少しピンクがかって。
天気もいいし、散歩だけでも満足。
折り返して帰り道に、来るときは寄らなかった池の方に下りてみた。
そしたら何人か人が集まっているのが見えた。
低木の松がたくさん生えていて、鳥の姿は見えない。
カメラマンたちの視線の先を追う。
自分はその人たちの後方にいる。
カメラマンたちから溜息のような声が漏れて、視線が移動した。
そして目の前に飛んできた。
写真で見たことはあったが、実際に見るとその独特の姿に改めて驚く。
自分は松の陰に隠れていた。
後ろをカメラマンたちが移動してく気配がする。
ヤツガシラは芝の中を突きまわして何かを探し当てた。 幼虫かな。
それをくわえてひょいと空中に浮かせてパクリと食べた。
これはほかの方の写真でも見たことがある。
たまたま写せた。
後ろから。 頭の冠羽のとんがり具合がすごい。
ちょこまか動き回って芝生を突きまわす。
何か特別なセンサーがあるのかも。
やみくもに突いても幼虫は見つからないと思う。
採餌に夢中なので、何人かのカメラマンに囲まれているのがあまり気にならないようだ。
時々目が合っているような気がするんだけど、近づいてくる。
突然はッ?という顔つきになって飛んだ。
カメラマンとの距離感を認識したのか。
飛んで近くの木に止まった。
冠羽が開いている。 すごい。
冠羽は2列8枚あるそうで、それがヤツガシラの名の由来なのだろうな。
そしてこの冠羽の開きは、鳥の感情を表しているんだろう。 あんまり近づくなよと。
10分ほどしか撮影できなかったが、近くで十分楽しませてもらった。
次の日にこのヤツガシラはこの地を後にしたそうだ。
北上してのちに海を渡り大陸へと行きつくのか。
猛禽類を避けて夜に渡るということも教えてもらった。
その渡りの姿を想像すると胸の中にじわりと愛しさの気持ちがこみ上げてくる。
来年もまた来てほしい。
別のコが来ても、「ああ元気に戻って来たんやね」と自分は思うやろうけど。
おしまい。