悠釣亭のつぶやき -534ページ目

鳥人間大会

鳥人間大会ってのがあるのをご存じですか?
元々は英国発祥のエンタメ競技会だったんですが、日本のさる人が
「日本で、純粋技術的に、人力でどれだけ飛べるか競うのは意味が
ある」として始めたのがこの大会だったと記憶している。


 

この大会、滑空機部門と人力機部門に分かれていて、滑空機部門は
推進力を持たない飛行機で飛行距離を競い、人力機部門は人間
エンジンによる動力飛行で飛行距離を競うというもの。

7月に琵琶湖(彦根)で競技が行われ、その状況が8月末に放映
されている。
毎年同じような設定で、そろそろマンネリなんだが、この競技が
いつの間にかエンタメ化してしまって、技術を競う場になってない事も
大きいのかなと感じる。

テレビ局からすれば、何事もなく粛々と飛距離を稼ぐ飛行よりも
派手にブッ壊れる方が絵になるって事のようですな。
だから、気象条件なんぞお構いなしに壊れてもエエやんってな競技
(というか見世物)になってしまってますな。
1年を費やして真面目に競技に臨む人達をコケにしてるんじゃない?
ってな感じもしますな。


今の世の中、機体材料は進歩していてるし、設計ツールは精妙だ。
ただ、所与の条件(高度10mから離陸し飛行距離を競う)により、
設計条件(耐荷重、飛行速度、飛行経路等)は微妙に変わらざるを
得ないわけで、皆さんギリギリの設計をしていると思われます。
それでも、時間を掛けて真面目に作れば、簡単に壊れることは無く、
そこそこの飛行は実現できるんでしょう。

だだ、気象条件は時々刻々変わる訳で、設計の前提条件をどう採る
かは最初の難題だと思います。
離陸台の状況から、離陸速度を非常に遅くせざるを得ないので、
当日の風がどうなるかで、状況が全く変わるからです。
どんな条件でも飛べる飛行機なんてものは実現不可能ですから、
当日の気象条件が想定のものなら良い成績が出るし、違うものなら
良い成績が出るはずが無いわけです。


ところが、企画側から見ると、どの飛行機もがそこそこ飛んでもらって
は困る訳ですな。
1日の間に全部飛ばさなきゃならないし、気象条件は設定できない、
スムーズに飛ぶより派手にブッ壊れる方が絵になる等々、テレビ局
側の都合がある訳です。

で、強風が吹こうが、突風があろうが、余程でなければ飛べという
事になる。
その結果が現在の鳥人間大会なのであって、最早、技術を競う
大会ではなく、テレビ局の都合によるエンタメ大会になってしまって
いる訳です。


本来ならば、数日掛けて、設計者が企図する最適気象条件で飛行し、
飛距離を競うのが純粋技術競技なんでしょう。
もちろん、設計の与件(耐荷重、総重量、新規性等々)を指定する
のは必要かもしれないが。
あるいは向い風何m/s~何m/sで飛行させるというような制限も
必要かもしれません。

それでこそが、この競技の本来の目的であったはずが、今や、
奇抜なエンタメになっていて、これに情熱を燃やす多くの人達に
とっては、「一生懸命に良い飛行機を作ったが、不本意な飛行に
なってしまった」という結果になってますな。
沢山の人達の努力を翻弄しているとしか言いようがないんだな。


ワシは今まで毎回見てたんだけど、色々と考えると、やってる人達が
気の毒でならなくなったんだな。
もちろん、それでも、上手く条件が合えば飛べるとして、膨大な
資金と労力を掛けてでも飛ぶ意味があるとする人は居るので、
何をか言わんやって事でもありますが。
そういう人達に報いるような企画ならもっと楽しめるのかも知れない
んだが。