水俣病未認定患者団体「不知火(しらぬい)患者会」が国と熊本県、原因企業チッソ(東京)に損害賠償を求めた訴訟の第3回和解協議が26日、熊本地裁(高橋亮介裁判長)であった。国は「1968年生まれまで」とした未認定患者救済策の対象者年齢要件を緩和し、へその緒などで水銀が体内にあったことを証明できれば、69年以降生まれも救済候補に含める方針を示した。また居住要件についても熊本、鹿児島両県の3地区を追加した。【西貴晴、遠山和宏】

 不知火患者会の園田昭人弁護団長は会見で「国は従来のスタンスから大きく踏み出した」と評価する一方「内容は不十分だ」と述べ、さらに対象拡大を求める考えを示した。

 救済対象者の出生年について、環境省は「チッソ水俣工場が水銀排出をやめた翌69年以降、水俣病発生の可能性がある水銀暴露は存在しない」として、69年以降生まれを対象から原則外す方針を示している。しかし患者団体からは「69年以降も水銀汚染は続いた」と批判が強く、環境省は新たに、へその緒や毛髪などで幼少期の体内に水銀が存在したことを示す科学的データがあれば、69年以降生まれも救済候補に含めることにした。

 熊本、鹿児島両県計9市町の対象地域についても、新たに3地域を対象に追加した。

 また、現行救済策で▽母親の胎内で水銀を浴びた可能性に配慮し、69年11月末までに生まれた場合は救済に含める▽魚介類の多食が認められる場合などは対象地域外でも救済する--との例外的運用も、正式採用した。

 このほか今後の判定で救済対象から漏れた場合、医師による健康診断や脳磁計を使った高度な検査を受けられる「健康不安者のフォローアップ」を盛り込んだ。

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