2020/07/15 講談社文庫
2020/07/25 読了

さて無職中、積み本を崩したり図書館で借りたりして出来るだけお金をかけずに読んできたが、恩田陸の新刊と聞いて(文庫だけど)買いに走った。『七月に流れる花/八月は冷たい城』のタイトルと表紙の絵からして私はあの『三月は深き紅の淵を』を思い浮かべた。底冷えのする怖さ、解決しても後味の悪い、じゃああれはなんだったのかと考えると終わらない恐怖がそこにあるような恩田陸にハマったきっかけにもなった一冊。映画シャイニングのあの感じ。しかし本書はあのシリーズとは一切関係がない。
本書を読んだ時、あまりの結末にほとんど茫然とした。新型コロナが流行った昨今だからこそ少し現実感も感じられないこともないが…。
ただ前半は上記のような著者独特の世界観が満載で、1、2時間は時間も忘れて読み耽った事は間違いない。


以下ネタバレ。








結末があまりにもとってつけたようなもので残念だ。例えば、ジャンプで打ち切り決定した作家が大風呂敷を慌てて畳むべくどこからきた?って特殊能力をガンガン新登場させていくことがあるが、あの感じ。お化け屋敷でさんざん怖い思いをして、最後の最後に怖いのが来るぞ来るぞと思って扉を開けたらもうゴールで外、みたいな感じだ。世界的流行した病気、みどりおとこの存在に、ミチルがピンと来ないなんて…?みどりおとこが人を喰うのは記憶を継ぐため…?急にそんな事言われても読んでいる方としては置いていかれてしまう。
私は恩田陸のファンだからこそこういうのが読みたい、と思い過ぎているのかもしれない。作家が書きたいものを書く、それを読ませて頂くのが読者である。読みたいものを書いてくれるのが作家ではない。にしても結末が一冊を残念にしていると思わざるを得ない。