【評価】
☆☆☆
【紹介・コメント】
バイアウトファンドの業務内容や、彼等の企業価値向上のために用いる手法について書かれた本です。教科書ということもあり記述がやや固めですが、バイアウトファンドの実態を理解する上では良書と言えるかと思います。ただ、経営改善のための手法に関する記述が一般論で終わってしまったため、コンサルタントからするとやや物足りない感があります。以下に参考になった点を簡単に記載します。
バイアウトファンドの業務とは
未公開株(プライベートエクイティ)に投資し、投資先の企業価値を向上させることで収益を上げることです。投資先の候補は、経営の効率化により企業価値の向上が期待できる中堅企業や大企業の子会社等がメインとなります。投資先の選定後は、投資先企業のための資金調達の支援、投資先の経営者との連携の下での経営改善計画の策定、経営改善計画実施に向けた支援までを一貫して行うのが基本です。
バイアウトファンドの活用によるメリット
として最も大きなものは、これまで親会社とのしがらみや、社内政治等が理由で進められなかった思い切った施策を一気に展開できる点と言えます。基本的にファンドが出資した企業の株式は、一部を経営者、残りをファンドが持つこととなるため、通常の改革実行の際に障壁となる親会社や少数株主からの圧力を気にすることなく改革を実行可能となります。バイアウトファンドというと企業価値の向上のため、資産の大規模な整理、人員の大幅削減等荒々しい手を使う所ばかりとのイメージを持つ方もいますが、投資先の中長期的な発展を目指して共に努力するファンドも数多く存在します。
バイアウトファンドで働く人々
には、投資案件の発掘から投資資金の回収までの一連の業務を遂行する能力が必要とされます。バックグラウンドとして、インベストメントバンカー、コンサルタント、マーケティング担当者、法律・会計の専門家としての経験を持った人が在籍していることが多いです。最近の求人内容を見てもこの点は変わりないです。一人で全てを完璧にこなせる必要はありませんが、一連の業務に関する最低限の知識、特定の業務に関する高い専門性、業務推進の際に直面する数々の課題に対峙するための柔軟性と強い意思は不可欠な要素といえます。
【関連書籍】
『プライベートエクイティ 6つの教訓』 オリット・ガディッシュ