成熟経済環境下における人的資本・金融資産最大化に向けた投資戦略 -2ページ目

成熟経済環境下における人的資本・金融資産最大化に向けた投資戦略

国内経済が成熟・停滞期にある現代において経済的な安定を得るためには、自身の人的資産への投資を通じた市場価値の維持・向上が不可欠であると共に、ピケティの21世紀の資本での教えを踏まえ、資産運用による収益確保を戦略的に進めていく必要がある

論点2:国内・海外債券をポートフォリオに組み入れるべきか

基本とするアセットアロケーションとして、資産三分割法と長期投資派の機関投資家の基本アセットアロケーションを紹介させて頂きました。その通りにすべきか、特に債券を保有するかについては、専門家の中でも大きく意見が分かれています。


一般的な投資理論

債券は、株式と異なる値動きをするため、株式と債券をバランスして持つことで、価格変動によるリスクを軽減することが出来る。(竹川美奈子氏の書籍等をご参照下さい)


外国債券反対派

外国債券の中には日本国債より金利の高いものがあるが、一般的に金利の高い国の通貨は、そうでない国の通貨に比べ価値が低下することが分かっているため、リターン面で日本国債より高いと安易には判断できない。また外国債券には、日本国債に比べ、為替以外の観点で見てもリスクが高いことから、尚更進めることは出来ない。(詳細は山崎元氏の書籍や記事を参照下さい)


債券そのものに対する消極派

特にまだ定年までの期間が十分にある世代の場合、労働によって得られる賃金というのは、毎年一定額を安定的に得られるという点で債券に近い特徴を持っている。しかもそれを日本にいながら得ているのだから、日本国債に近いといえる。すると、現役世代は労働力という名の日本国債を大量に保有しているのだから、金融投資においてはそれと性質の異なるもの、具体的には外国株式を中心に考えるのが、合理的である。(詳細は橘玲氏の書籍や記事をご参照下さい)


ちなみに管理人はというと、外資系勤務ということもあり自身の収入が株式に近い性質を持っているという認識も持っているのですが、リスクに対するリターンを考えると基本的に債券への投資にはネガティブです。今後の物価動向を見て、物価連動債くらいはポートフォリオに組み込むことも考えてはいますが。


以上となります。また他の記事も鋭意追加します。

論点1:基本的なアセットアロケーションはどのような内容か
アセットアロケーションを考える際に考慮すべきアセットクラスといえば、国内株式、国内債券、先進国株式、先進国債券、新興国株式、新興国債券、国内REIT、先進国REIT、新興国REITと言ったところでしょうか。一般的にベースにすべきは以下の2流派でしょう。


アプローチ1:資産三分割法をベースとする

資産三分割法というのは、歴代の資産家・富裕層が取ってきた試算の持ち方で、内容は以下の通りです。これは、リスクをとって収益を狙っていく株式と、リスクをおさえながらインカムゲインを狙っていく債券と、その両面を持つ不動産とをバランスすることが合理的という発想に基づいています。

株式:33% / 債券:33% / 不動産:33%


アプローチ2:機関投資家の基本ポートフォリオをベースとする

機関投資家、特に長期投資を基本とする機関投資家がリスクと、リターンをバランスさせるために取っているポートフォリオで、ざっくりとは以下のようなポートフォリオです。

国内株式:20% / 国内債券:40% / 外国株式:20% / 外国債券:20%


最近では、不動産をREITと読みかえて資産三分割法を取っている方もいるようです。大方上記をベースにすれば比較的リスク・リターンのバランスは取れます。


すると次の問題は、単に株式だとか外国株式と書かれているものの中身をどうするか、不動産33%と書かれているのをREIT33%と単純に読みかえて良いかです。それについてはまた別の記事で書かせて頂きます。


論点3:国内・海外REITをポートフォリオに組み入れるべきか

本日は、REIT(不動産投資信託)をポートフォリオに組み入れるかどうかです。不動産収入に憧れる方も多いでしょうし、正しく投資すれば決して悪い金融商品ではありません。ただし、注意すべきなのは、REITはミドルリスク・ミドルリターン系の商品ではないという認識の下、投資を行うべきという点です。具体的にポイントを整理すると以下の通りです。


Point1:REITのボラティリティ(値動きの大きさ)は株式より大きい

ニッセイ基礎研究所の研究結果が有名ですが、REITは、不動産価格がそうであるように、価格変動が言うほど安定的ではありません。むしろ過去のデータを紐解くと、株式より値動きは大きいことも確認されています。山崎元氏や内藤忍氏といった著名人の記事・書籍の中でも、REITのリスクの高さはしばしば指摘されているので、機会があれば確認してみて下さい。


Point2:REITの価格変動が株式に似てきている

株式と債券とREITはそれぞれ価格変動のパターンが異なることから、その三者に分散投資することで、より投資リスクを軽減できるという主張もあります。ただ、これもニッセイ基礎研究所の研究結果ですが、REITの価格変動が株式のそれと似てきており、REITが価格変動リスクを軽減する投資商品として機能しなくなっていることが確認されています。


Point3:インデックスファンドのポートフォリオには不動産会社の株式も含まれている

インデックスファンドの投資銘柄には、不動産会社の株式も含まれます。つまり、インデックスファンドへの投資を通じて、少量ではありますが不動産投資も間接的に行っていることになります。するとそのうえでREITを買うとなると、不動産比率を意図的に上げることにもなるので、REIT投資の際は、その点も考慮する必要があります。


で、筆者はというと。

実は上記のことは考慮しながらもREIT投資賛成派です。それは、筆者が暴落時に金融商品を買い漁るタイプであることが大きな理由です。ボラティリティの大きさはむしろ歓迎というスタンスですね。加えて筆者は持ち家を買うくらいであれば、その住宅価格分のREITを買って、その投資収益で賃貸に暮らす方がマシだという考えがありまして(仕事柄海外出張や海外常駐機会も少なくないため)、REITを上手く活用したいという考えがあります。


とはいえ、資産三分割法に沿って金融資産の1/3をREITにするほどリスク許容度も高くないため、REITはアセットクラスの10%ほど(しかもJ-REITでいうと全体の2%)で保有という、無難な投資戦略に落ち着いています。

論点6:各国の株式価格の割高・割安感を判断するのはPERのみでよいか

管理人は、経済指標(特にThe EconomistやOECDが出しているもの)を見るのがちょっとした趣味なのですが、そうでなくともインデックス投資家が各国の株価の割高・割安感を見る際の重要指標をちょっとばかり紹介させていただきます。個人的に重要視しているのは、『PER』、『長期金利(インフレ率)』、『バフェット指数』の三つです。以下では、その背景と補足を記載します。


インデックス投資にあたってのPERの活用方法

株式のファンダメンタル分析を行なううえで最も基本的な指標といえば、PER(株価収益率)ですよね。個別株式の売買判断でこれを見ない人はいないと思います。ご存知の方も多いかもしれませんが、このPERは株式市場に対しても存在します。つまりTOPIXのPER、DOWのPER、ハンセンのPERという具合です。これらの最新の値は、Capital Partners社がご親切にも綺麗にまとめて、公開してくれているので是非見てみてください。各国間での違いが一目瞭然となります。


インデックス投資における適切なPER値

PERの適性値はどの程度か?調べてみると色々出てきますよね。

(1) 大体16-20倍が適性で、それより高ければ割高、低ければ割安

(2) 業界ごとによる違いもあるのでそれも加味すべき

(3) 国によって政治・経済的事情が異なるため、適切なPER値は異なる 等々


(1)はマシな方で、日本株を見るときなんかは結構参考になります。で(2)と(3)が悩ましい。(2)については、各国・各市場の産業構成を把握してたら一苦労ですし、産業別の適性PERがあるわけでもないので、加味するのが難しいです。ただし、(3)は重要。難しい話を割愛すると以下の2点くらいは気にした方が良いと思います。(ポイント2に該当する国は、基本的にポイント1にも該当するのですが。。)

(ポイント1) 長期金利が高いの国の適性PERは、そうでない国より低い値となる

(ポイント2) 政治・経済リスクが高い国の適性PERも、そうでない国より低い値となる


PERを保管材料としてバフェット指数も注視

バフェット指数とは、GDPの合計値と株式時価総額との乖離を指数化したものです。これが100%を超えると割高な可能性が高いと言われています。実際、2014年後半からこの値が結構高く、バフェット自身も警鐘を鳴らしていますし、ジョージ・ソロスも同時期あたりから、米国株を売り抜ける準備を本格化しているという話もあります。


指標に関する記事は、今後も鋭意充実させていきますので、一旦初回はこのあたりで一度筆をおかせていただきます。

【評価】


☆☆☆☆


【紹介・コメント】

ボストンコンサルティンググループのシニア・パートナー&マネージング・ディレクターの杉田浩章氏の著作で、製造の現場でよく使われるTQM(総合品質管理)の考え方を、分析的アプローチが比較的嫌われる営業に対して取り入れるにはどうしたらよいかを丁寧に解説した良書です。個人的に参考となった点は以下の3点です。


現場の裁量にまかせ、非効率な営業になっていないかを定量的に明らかにする
営業の現場では、個々の顧客の企業規模、業績、競合企業との取引関係等様々な要素が入り込むことから、標準化されたプロセスの導入は行われず、担当者の裁量に任されることが多々あります。しかしながら、担当者が定性・定量的な分析に基づき合理的な営業活動を行えていることはそうそうありません。明確な根拠もなく顧客によって値引率が異なったり、売上高の小さな顧客に営業時間の大半を使っていたり、意思決定権限の無い担当者にアプローチをしているといった事態の深刻さが、定量的分析を通じて露呈することも少なくありません。


分析結果に基づき営業プロセスを再定義し、その実行を徹底する
辛抱強く自社・顧客の現状を見ていくことで、どの顧客の誰にどのような頻度で訪問すべきか、値引き要求にはどう対処すべきか、どのような活動は今後増やし、どのような活動は今後やめるべきかが明確になります。そうなったら、きちんとそれをプロセスとともに明文化し、その定着を徹底する必要があります。定着に向け、営業担当者が正しいアプローチで営業しているかを評価するためのKPIを設定することも重要です。売上や利益といった最終結果のみを評価対象とした場合は、目標値に達しなかった場合も、市場環境や競合の割り込みなど様々な言い訳が容易可能ですが、行動に対する評価であれば言い訳はできません。プロセス導入の重要性をトップ、マネージャーが徹底して伝るとともに、それに合った仕組みもきちんと整備しておくことが、着実に結果を生む上では不可欠です。


営業改革は一般的に非常に難しいものであることを理解し、周到な準備を行う
営業改革を進める際には、過去の改革時の失敗を理由に改革に後ろ向きな態度を取る営業担当者がでてきたり、現在高い成果を上げている営業担当者から新しい営業プロセスに対する強い反発が起こるといったこと多々あります。だからといって一部でも例外を許せば、新たに考えた戦略・戦術がかなりの確率で破綻します。そのような声に対しても断固として改革を進めるといったトップの強いメッセージの発信と共に、改革への協力を促すよう、インフラ整備、業務量の調整をはじめとする準備が不可欠です。その意味では、パイロットプロジェクトの実行も極めて効果的です。全社展開前に主要な課題の洗い出しと潰しこみも可能である上、試験導入先で成功事例が蓄積できれば、ともすれば変革に後ろ向きな営業担当者をその気にさせる材料ともなります。自分達にとってメリットがあると理解すれば、改革に協力的な営業担当者は自然と増えるものです。いずれにせよ、改革の成功には相当な努力が必要な点は理解しておく必要があります。


少し長くなりましたが、ざっとこんなところです。印象としては、営業現場の実情をよく理解した上で中身が考えられている感じで、納得感が得やすい内容でした。


【関連書籍】

『法人営業「力」を鍛える』 今村英明

『なぜ安くしても売れないのか』 マイケル・J・シルバースタイン