サングラスから考える『興行』としての箱根駅伝 | 働きがいを追及する会社の社長ブログ

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2012年3月14日、株式会社カイラボを設立しました。

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お正月の風物詩、箱根駅伝が終わりました。1月1日はニューイヤー駅伝、2日、3日は箱根駅伝と3日連続で駅伝を見るという人もいることでしょう。


私も3日連続で駅伝を見ていたのですが、一つ気付いたことがあります。それは箱根駅伝に比べてニューイヤー駅伝ではサングラスをかけている選手が非常に多いことです。


ニューイヤー駅伝を走る選手の多くは箱根駅伝に出場する学校出身です。高卒の選手や、関東以外の大学出身者もいますが、数で言えば圧倒的に箱根駅伝出場校の出身者が多いでしょう。

そうなると、箱根駅伝ではサングラスをかけていなかった選手が実業団に進むとサングラスをかけて走っている可能性が高いということになります。


もちろん、気象条件によってサングラスをつけるかどうかは変わってくるわけですが、今回はどちらの駅伝も晴れていてサングラスをかけること自体には違和感がない条件でした。


これは『興行』としての箱根駅伝と、スポーツとしてのニューイヤー駅伝の違いがある気がします。


なぜ、こんなことに気が付いたかというと、実はヤングマガジンで連載している野球漫画「砂の栄冠」の影響です。「砂の栄冠」は野球漫画ですが、魔球も出てこなければ、大リーグ養成ギブスも出てきません。高校野球そのものを『興行』としてとらえ、大切なことはいかに応援を味方につけるか、高校野球ファンが望む「清純な高校球児」を演じることという視点で描いたマンガです。

少し前に大ヒットした「もしドラ」(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)でも高校野球の顧客を考えるという視点がありましたが、その考え方に醜い人間の様を描いたのが「砂の栄冠」です。


例えば、「砂の栄冠」では主人公は「眉毛は細くしない」「帽子に形をつけて曲げない」「攻守交替のときは全力疾走」「スコアラーは学帽着用」という高校野球ファンが考える「高校球児のあるべき姿」を実践することでファンを獲得し、甲子園の雰囲気そのものを味方につけて快進撃を続けます。



これらは箱根駅伝における「サングラスをつけない」「終わった後にコースへ一礼をする」といった行動と重なって見えたのです。



箱根駅伝で学生がサングラスをするようになったのは、2000年の箱根駅伝で法政大学の徳本選手と坪田選手が1区、2区で茶髪にサングラスという姿で連続区間賞を取ってからだと思います(その前にもいたかもしれませんが、インパクトという意味ではこの大会は大きかった)。

また、2000年のシドニーオリンピックでは高橋尚子さんがサングラスを投げ捨ててスパートをして金メダルを取ったことも影響して、ランナーの中でサングラスをするのが流行り初め、翌年からはサングラスのランナーが増えました。



しかし、今年の箱根駅伝の上位4校、東洋大、駒澤大、日体大、早稲田大の選手は箱根駅伝ではサングラスをしません。特に、東洋大は以前はサングラスや長髪のランナーもいたのですが、現在の酒井監督になってからは、学生駅伝の場においてはサングラスをしていることはありません。


では、普段からまったくサングラスをしないのかというとそんなことはなく、合宿の様子などをTVで見ていると何人かサングラスをしている選手もいますし、関東インカレなどの大会のウォーミングアップ中や普段の練習ではサングラスをしている選手も見たことがあります。


また、学生時代はレースではサングラスをかけていなかったのに、実業団に進んだ途端にいつもサングラスをかけている選手も少なくありません。


これらのことから、大学駅伝において“敢えて”サングラスをしていないと考えられます。

それが監督やOBの指示によるものなのか、それとも選手たちの自主的な行動なのかはわかりませんが、何らかの取り決めをしているのではないでしょうか。

そういった取り決めをすることが悪いことだとは思いませんし、一方でサングラスをしない方が速く走れるとも思いません。

しかし、古くからの駅伝ファンはサングラスをしているよりも、していない方が「学生らしい」と感じて応援してくれる人が多いような気がします。


高校野球の坊主頭は有名ですが、実は高校駅伝もほとんどの学校の選手が坊主です。大学でも、一年生は原則坊主で有名な強豪校もあります(今は違うかもしれませんが)。


駅伝好きな人は当然、高校駅伝も見ますから、高校まで坊主で朴訥な雰囲気だった少年が、大学に進学して突然茶髪にサングラスで駅伝を走っていたら、それはショックも受けるでしょう。

箱根駅伝は学生スポーツではありますが、すでにその領域を超えて『興行』となっています。高校野球の甲子園、大学長距離の箱根駅伝の2つの人気を超えられるプロスポーツは日本だと野球とサッカーくらいです。


そして、甲子園も箱根駅伝もファンが求めているのはアマチュアならではの純粋さであり、その純粋さによって流される汗と涙なのです。


今年の箱根駅伝は偶然にも上位4校がサングラスをしないオールドファンにとって「あるべき姿」で走るチームでした。そのおかげで好成績を収めたのか、それとも強いからこそ「あるべき姿」に合わせたのかはわかりません。ただ、この4校以外でサングラスをする選手がいない学校を私は2つしか知りません。



陸上経験者としては純粋にレースとしても面白い箱根駅伝ですが、『興行』という視点から見てみるとまた新たな発見があるかもしれません。


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