“人材育成企業”と名乗る、株式会社シェイク代表の吉田氏の著書です。
シェイクの創業者の森田さんのことを知っていたのですが、
失礼ながら、吉田さんのことは知りませんでした。
しかし、書店でタイトルを見た瞬間、
直感的に今の自分が読んでおいた方が良い内容だと思って購入しました。
これまでのぶら下がり社員というと、
会社に来ても新聞を読んでるだけなどの、
いわゆる「窓際族」のような存在が語られることがほとんでした。
しかし、本書では、
仕事は一応しっかりとこなし、勤務態度も不真面目ではない、
表面的には優秀な社員に見えるが、
向上心がなく、自分に対して諦めてしまっているような社員を、
「新・ぶら下がり社員」と名付け、彼らの特徴やそこまでに至る経緯、
そして対処法に至るまでが書かれています。
ちなみに、この本の帯にはこんな言葉が書かれています。
「辞めません、でも頑張りません」
そして、裏表紙にはこんな言葉も。
「ゆとりより、30歳が危ない」
30歳というと、今の私よりも3つ~4つ上、
1982年生まれが今年30歳になりますので、1980年前後生まれの人々です。
本書では、ぶら下がり社員が生まれた原因として、
バブル崩壊や、就職氷河期、昇格ポストの不在、
リーマンショックによる転職機会の喪失などを上げています。
つまり、幼少期から「頑張ったら頑張っただけ豊かになるわけではない」ことを見せつけられ、
就職活動時には、まずは仕事に就くことが一つのゴールになってしまっている状況。
せっかく入社した先で頑張っても、
第二次ベビーブーム世代が上にいるため、年功序列の社会では昇格もままならない。
一方、成果主義の導入でノルマにしばられる日々。
社会人として経験を積んで、転職市場で売れっ子になる頃にリーマンショックで転職もできない。
少し上の世代は「リベンジ転職」とか言って、
新卒の時にはいけなかった企業に転職していったのに、
自分たちはそれすらもできない。
そんな状況で段々と腐っていってしまったということです。
著者の吉田氏の言うように、
「新・ぶら下がり社員も、はじめからぶらさがっていたわけではない」のだと思います。
実は、今お手伝いしている会社でも似たような現象が起こっています。
その会社は30代の手前、入社2年目~3年目くらいでその傾向が出ています。
ベンチャー企業で日々忙しいために、大企業に比べると症状が出るのが早いのかもしれません。
結局、その会社では
将来のキャリアパスが見えないことが原因だということがわかってきたので、
キャリアパスがわかる人事制度をつくりなおしています。
「若い人は忍耐力がないから」「ゆとり教育は間違ってた」そんなことを言って、
自社の問題の原因を他者や社会のせいにしてしまっている方々を見る度に悲しくなります。
確かに、それも理由かもしれません。
でも、他者に責任を求めたところで何一つ変わらないのです。
問題だと思ったら、自分がその原因になっていないか考えないと。