今日母に


「お母さんと話せないからすごく寂しい。わかるでしょ?」


と言ったら、


母が自分から手を伸ばして私の前髪とおでこを触った。


指がおでこにぶつかる感じで、なぜかそのまま上に向かって強めに指でこすり、眉も強くこすった。


「もしかして、頭なでてくれた?よしよし、ってしてくれた?」


というと頷いた。


その前に何回も


「お母さん、何か言って?」


と言ってしまった。


母は何を思っているのだろう?


もう私の頭を撫でるのにあんなに手や指がコントロールできないとは思いもしなかった。


24時間別人になれるなら、今の母になりたい。進行したアルツハイマーの患者である母が何を考え、何ができて何が分かるのか知りたい。


今日は出かけたいとはっきり意思表示していた。次にリハビリ担当者さんに会ったら必ずお願いしてみよう。


病棟を周るだけでも自信が出るに違いない。


母の残りの人生をできるだけ充実させたい。


お母さん、何もできてなくてごめんね。待っててね。