日々記132 | Fine Days

悲しみから生まれたものが

悲しみとなって還ってくる

 

その暗い事実に分け隔てなく

人の心、あるいは光と呼ばれるものを

注ぎ込んだもの

人はそれを春と呼ぶ

 

春に消えた彼女は

彼女自身が悲しみだったのか

心無い言葉に打ちひしがれた

冬の夜の残滓だったのか

 

混ざりあった感情の鈍い痛みを

肯定的に捉え続けていけば

青さの残る春となり

救い難い傷跡だけが残る

 

ありふれた感傷めいたものを

春に求め続けている

 

春と呼ばれるそれは

ありふれた感傷めいたものを

僕らに与え続けている

 

春に消えた彼女の

最後の悲しみとして