9月から長年不登校をしていた娘が学校へ通うようになっている。

 

通うと言っても、朝から学校へ行こうとは思っていないらしく、

遅刻をして給食の時間から行くのが通常だ。

行くのも毎日ではない。

朝起きた時の体調や気分で行くか行かないかを自分で決めている。

 

 

彼女は小学校5年の12月から完全不登校になった。

それから中学3年間ほとんど学校へは行っていない。

 

そんな彼女が中学3年になったこの4月、

高校に行きたいと言い出した。

 

 

それで、それにはやっぱり学校に慣れておかなければと思ったのだろう、

ちょくちょく学校へ行く練習をし始めた。

 

 

とはいっても、今まで全然学校へ行っていなかったし、

何より、彼女は人が怖い。

そんな彼女が学校という、人がたくさんいて、

しかも密閉された場所に自ら飛び込むというのは

とてもエネルギーを使う作業だ。

 

 

案の定、いつも数十分から長くて数時間で疲れ果てて帰ってくる。

 

 

しかも最初、自転車に乗るのが怖いと言って、

30分の道のりを歩きで学校へ行っていた。

(そのうち、やむおえず自転車に乗るしかない状況が来て

自転車には乗れるようになったけどね)

 

 

 

そうやって、少しづつ、本当に少しづつ、学校へ行っていた。

それでも1学期に学校へ行けた回数は

全部で10回に満たなかったと思う。

 

 

学校へ行っていない不登校の期間はほぼ、

というか、まったく勉強はしていなかった。

なので、勉強は小学校の5年生で止まっている。

この前、小学校の勉強をやってみたら掛け算九九も忘れていた。

 

 

 

それで、本格的に勉強もやらなくちゃと言って、やってみるんだけど

やっぱり面白くなくて続かなかった。

小学校の勉強なら少しは教えられるかと思い、あたしも教えるんだけど、

毎日は教えられないし、忙しくて、続かなかった。

 

 

 

だから、塾に入った。

塾もいろいろ選んだ。

(塾選びのエピソードも面白いのでまた別に書きます。)

 

 

 

だから今彼女は、

学校と塾とバレーボール(自分でやりたいと言って2月に始めた。)

の3つのコミュニティーに所属して

それぞれのスケジュールをこなしながら、

学校へ行く練習をしているということだ。

 

 

 

彼女が加速度的に学校へ行きだしたのは9月に入ってから。

実は彼女には高校に行く明確な目的があって、(この話も面白いのでまた別で。)

だから行きたい高校も決まっていた。

 

 

学校の先生や塾の先生と話をしたら、出席日数があったほうがいいよね。

ということになり、彼女はそのために学校へなるべく行こうと決めた。

 

 

とはいっても、そんなことぐらいで学校に行けるんだったら誰も苦労はしない。

彼女は学校に行けるようになるために、本当によく自分と向き合ってきた。

こういう風に書くと“学校行けるようになること”いうその行為だけに

視点が行ってしまいがちだけど

学校に行けるようになる=自分を幸せにするためだと思う。

 

 

 

自分を幸せにするために彼女は並々ならぬ努力をしてきた。

それは親バカ目線ということだけでなく、一人の人間としてみても

本当に素晴らしく、自分の本心と向き合うことを真摯にやっていた。

怖いこともいっぱいしていた。

 

 

私たち夫婦もできるだけサポートをした。

 

 

そんな彼女が、昨日は学校から大きな声で

「ただいまーー!!」

と言って帰ってきた。

 

 

その声には力が宿り、顔にはエネルギーが満ちていた。

とてもいい顔をしていた。

 

 

何かいいことがあったんだな。と感じて、

「何かいいことがあったの?」

と聞くと、

「うん。」

と返事が返ってきた。

「よかったね。」

というと

「うん。」

と言ってうれしそうに笑った。

 

 

 

今から2週間前、彼女から言われた言葉がある。

「ママ、私は自分の事が大好きになったよ。

それはママのおかげが大きい。ありがとう。」

と。

 

 

私はそれを聞いた瞬間、涙が出た。

私にとって、それは何よりうれしい言葉だった。

自分が自分の事を好きになる。

それを言葉にして表現できる。

これほど素晴らし事があるだろうか。

 

 

生きていくためにはいろいろな力が必要だ。

だけど私はこういう風に思えることこそが本当に必要な力だと思っている。

自分を愛おしいと思える力は生きる力だ。

命の源だ。

人はそれがあってこそ本来の力が発揮できて

命を輝かせながら生きていけるんじゃないかと思っている。

だから彼女が自分のことを好きだと思えて、それを表現できたのなら、

この子は大丈夫だと思った。

 

 

それと同時に、

私の子育て第一幕が終わったなぁと感じた瞬間でもあった。

 

 

私は自分の子供にこれを伝えたかった。

こういう風に言える自分になってほしかった。

 

 

彼女が不登校になってから

本当に紆余曲折いろんなことがあった。

 

 

だけど今、彼女は自分が大好きだと言えている。

 

 

こんなうれしいことはない。

私の夢が叶った瞬間だった。

 

 

 

そして、私の娘ちゃん、ありがとう。よく頑張ったね。