【言志四録を詠み解く引き寄せ短歌シリーズ】第74回です。
佐藤一斎の《言志四録》の《言志録》からご紹介します。
【書き下し文】
『纔(わずか)に誇伐(こばつ)の念頭(ねんとう)あらば、便(すなわ)ち天地(てんち)と相(あい)似(に)ず。』
《 言志録 28 》
【語義】
『誇伐(こばつ)』… 『誇』は大言する意味、『伐』は自ら功績をたたえる意味。
【訳文】
「少しでも自らを誇り高ぶる気持ちがあれば、それは天地の道理と相離れることである。」
参考文献:講談社学術文庫《言志四録(一)言志録》
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参考文献の講談社学術文庫《言志四録(一)言志録》によれば、山は高いといって誇らず、花は美しいといって誇らず、鳥は鳴き声を自慢するわけでも太陽は恩に着せるわけでもなく、天地は誇らないということが天地の道理だと解説しています。
ただし、誇るなという戒めは自尊心まで持つなというわけではないと思います。
“自分の内” で自分を大切にして自分を誇ることは自己肯定感につながるものです。
しかし、この誇りを “自分の外” に向かって自慢したり恩に着せたりしてしまうと、それは驕りとなって、かえって自分を貶め見失わせてしまうというわけです。
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人間を
育みながら
黙々と
働いている
天地の恵み
内に秘めたる
我が誇り
ひけらかしたら
埃となって
汚してしまう
功績だと
他者に認めて
もらえたら
素直に受ける
感謝で受ける
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山は高さを誇らずに…
花は美しさを誇らずに…
小鳥は歌を誇らずに…
お日様は恩に着せずに照らしてくれる
天地自然に生かされている人間たちは
驕り高ぶり
ただただ競い合っている……
天地の道理は
自然を否定しませんし
人間を否定もしません
たとえ人間が
天地の道理に反した
行いをしても
すべて肯定してくれます
ここが天地の
偉大なところなのです
本日も
ご覧いただき
ありがとう
ございます
【R041208】