【言志四録を詠み解く引き寄せ短歌シリーズ】第45回です。
佐藤一斎の《言志四録》の《言志晩録》からご紹介します。
【書き下し文】
『恩を売ること勿(なか)れ。恩を売れば卻(かえ)って怨(うらみ)を惹(ひ)く。
誉(ほまれ)を干(もと)むること勿(なか)れ。誉(ほまれ)を干(もと)むれば輒(すなわ)ち毀(そしり)を招く。」
《 言志晩録 247 》
【訳文】
「人に恩を売るな。(頼まれもしないのに)人に恩を売るとかえって人から怨まれるものだ。
自ら進んで名誉を求めるな。(実質の伴わない)名誉を求めれば人の謗(そし)りを招くものだ。」
参考文献:講談社学術文庫《言志四録(三)言志晩録》
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今回の一節は、恩や名誉といった欲や下心に対する戒めを説くものです。
対句で表現されていることもあって、中国古典シリーズの《菜根譚》に出てくるような文章です。
恩や名誉であるかどうかの評価は、行為や施しをする自分ではなく、恩を受ける相手やその行為を見ている第三者が決めることです。
恩は売るものではなくいただくもの、名誉は求めるものではなく与えられるものという気持ちが大切ですね。
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名誉を狙い
与えた恩が
仇(あだ)と謗(そし)りで
不名誉に
恩をいただく
感謝をすれば
謗られないと
いう名誉
恩や名誉と
意識をせずに
日々の生活
楽しもう
今日も一日
平穏無事に
過ごせたことが
幸せだ
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恩と怨みは紙一重
名誉と謗りは表裏一体
心のあり方で
どちらにもなる
(R040516)