言志四録を詠み解く引き寄せ短歌シリーズ第2回です。
今回も引き続き前回ご紹介した佐藤一斎の《言志晩録》からご紹介します。
【書き下し文】
『 敬を持(じ)する者は火の如し。人をして畏れて之(これ)を親しむべからしむ。
敬せざる者は水の如し。人をして狎(な)れて之に溺るべからしむ。』
《 言志晩録 174 》
【訳注】
『 常に敬の態度を持している人はちょうど火のようなものだ。人はこの人をおそれるけれども、しかも親しむべき人として尊敬する。
敬の態度を持さない人は水のようなものだ。慣れ親しみやすいが、人をして溺れさせてしまう(威厳がなく馬鹿にされてしまう)。』
敬:自分に対してはつつしみ、他人に対してはうやまう。
参考文献:講談社学術文庫《言志四録(三)言志晩録》
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前回、敬の一字をもって、順境逆境を終始一貫すればよいというお話をしました。
この敬とは自分に対してはつつしみ、他人に対してはうやまうという意味です。
これは自分を犠牲にしてでも他人を尊重せよということではありません。
自分をつつしむとはやけくそになったり怠けたりしないということです。
こうした心は自分自身を見失わず、自分軸を保ちながら日々過ごせます。
自分をつつしむということは、自分を抑え込んだり蔑ろにするのではなく、むしろ自分の生き方を忘れるなという戒めです。
また、他人をうやまうとは、他者の良い面に意識を向けようということです。
こうした意識が自分が生きる世界を平穏にしていきます。
そして、自分も他者も同じように大切にするという生き方が、人生をよりよいものにしていくというわけです。
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自他ともに
うやまう心
梅雨が明け
つつしんで
大切にする
自分軸