』(きず)は、1988年に公開された陣内孝則主演、梶間俊一監督による日本映画。東映・ユピテル・コミュニケーションズ・インターナショナル製作提携、東映配給。

概要

1987年の陣内孝則主演・梶間俊一監督の『ちょうちん』が高い評価を得て、ヒットしたことから、ほぼ同じスタッフで製作された。陣内は『ちょうちん』『極道渡世の素敵な面々』(和泉聖治監督)に続くヤクザ映画となる。『ちょうちん』は金子正次の遺稿の映画化であったが、本作は本田靖春原作のノンフィクション『疵/花形敬とその時代』の映画化で、実在したヤクザ・花形敬の生涯を描く。

 

出演

  • 花形敬(安藤組大幹部):陣内孝則
  • 兵藤美佐子:藤谷美和子
  • 松田邦雄(安藤組大幹部):ジョニー大倉
  • 吉村貞吉(バンドマン):渡辺正行
  • 里美:芦川よしみ
  • ジム:我王銀次
  • 平本進:小沢仁志
  • 和田:湯江健幸
  • 水野:白石貴綱
  • 村田:内藤剛志
  • 田代強:佐藤仁哉
  • 丸信デパート総務課長:浅野ゆう子(友情出演)
  • 花屋店員:三田寛子
  • 平野:江藤潤
  • 三神:鹿内孝
  • 室谷刑事:寺田農
  • 佐川秀一:本間優二
  • 花形美:加藤治子(特別出演)
  • 安藤昇:岩城滉一
 

ストーリー

昭和30年代の渋谷。生涯一度も銃や刃物を身に付けず、常に素手で相手を叩きのめし、

ヤクザの間で"死神"と恐れられた男・花形敬(陣内孝則)。

強すぎるために組織からもハミ出し、純粋で一本気な性格故、ヤクザらしいヤクザにもなれず。

暴力の中で、常に友を求め、人肌の温もりを求め続けながら33年の短い人生を閉じた花形の半生を

高度経済成長時代の東京を背景に描く。

花形敬(陣内孝則)は少年時からすでに不良として名が通っていた。

いつも相棒の松田(ジョニー大倉)と一緒で、ふたりは成人しても定職をもたず

場末のクラブに出入りしては気ままな暮らしを送っていた。

花形(陣内孝則)はそのクラブでピアノを弾く美佐子(藤谷美和子)に一目惚れして、結婚した。

同じ頃、花形(陣内孝則)と松田(ジョニー大倉)は

新興ヤクザ・安藤組(岩城滉一)が経営する渋谷興業の組員となった。

やがて美佐子(藤谷美和子)が妊娠、彼女はヤクザから足を洗うよう頼むが、

花形(陣内孝則)にとってヤクザ稼業は生きがいだった。

しかし、美佐子(藤谷美和子)の不安は現実となり、

花形(陣内孝則)は傷害事件を起こし、刑務所へ服役することになる。

美佐子(藤谷美和子)は子供のために愛する花形(陣内孝則)と別れる決心をし、

彼は獄中で離婚に応じた。

出所後世の中は一変していた。松田(ジョニー大倉)は安藤組の大幹部となり、

ヤクザ社会も喧嘩よりビジネスの時代になっていた。

 

しかし、喧嘩に明け暮れる花形(陣内孝則)は再び傷害事件を起こし、

対立する組に追われることになる。

逃走の途中、花形(陣内孝則)は美佐子(藤谷美和子)と再会、息子と対面を果たした。

が、やがて花形(陣内孝則)は凶弾に倒れ、33歳の人生を終えた。