2014年7月13日にコンサート活動の無期限休止宣言をしたロック歌手、氷室京介(53)が19日、横浜スタジアム公演を行い、その理由が聴覚障害であることを激白した。約7年前から右耳の異変を感じ、現在は左耳もある音域だけ聞こえない「トーンデフ」と呼ばれる症状であることを吐露。スタジアムのファンに「オレのミュージシャンとしての寿命なのかな」と胸中を語った。
 ライブ終盤、氷室は凛としてステージ中央に立った。ただならぬ雰囲気に、スタジアムは静寂に包まれた。


 13日にソロ25周年ツアーの山口・周南公演で、「氷室京介を卒業します」と無期限のコンサート活動休止を宣言して迎えた初ステージ。「オレの気持ちが中途半端な形で広がって、ファンに迷惑をかけてしまったから、きょうはみんなに話したい」と切り出し、衝撃の事実を公表した。

「年のせいもあって7年くらい前から右耳の調子が悪かった。でも利き耳は左だから、そのままライブをやっていたら、左もどこかのトーンだけ聞こえなくなった」と語った。氷室は自身の症状を「トーンデフ」と説明。左耳の変調期は明かさなかったが公演中、音を外すような場面はなかったが、完璧なパフォーマンスを信条とする氷室には、自身の症状が耐えられなかった。今ツアーのリハーサルでも技術スタッフに迷惑をかけていると感じ、3月29、30日の福岡公演の際、身近なスタッフにはステージ引退の意思を打ち明けていた。さらに、今月13日の山口公演前に「これ以上無理だ」と限界を痛感し、会場での卒業宣言につながった。

 「オレのミュージシャンとしての寿命なのかな」とポツリ語った氷室。20日は同スタジアムでツアー最終日を迎える。「ジメジメはせずに、思い切りできることをやろうと思います」と完全燃焼を宣言。そして、卒業宣言直後に所属事務所がHPで発表した来年のファイナルコンサートで、本当に最後のステージを迎える。、「日本語に直すと音痴なんだよ」と自嘲気味に加えた。

 

■トーンデフ
 言語や音声を聞き取る以前に、ある一定の周波数の音だけを聞き取ることができない聴覚障害。症状に至る原因や治療法はまだ分かっていない。

 

■氷室 京介(ひむろ・きょうすけ)

1960年10月7日生まれ、群馬・高崎市出身。81年、同郷の布袋寅泰らとロックバンド「暴威」(後に『BOφWY』と改名)を結成。翌82年にアルバム「MORAL」でデビュー。ボーカルを務め、88年4月の解散まで日本の音楽シーンに数々の金字塔を打ち立てた。同年7月にシングル「ANGEL」でソロデビュー。94年以降は米ロサンゼルスを活動拠点に。血液型O。別名は「ヒムロック」。