福山雅治さんのファンというわけではないのですが、パリとニューヨークが舞台というところに惹かれて、「マチネの終わりに」を観てきました。
一目で惹かれあった2人のすれ違う愛の物語。
しかも、ある人物によって大きく運命が変わってしまうようなすれ違いだったとは。
でも、なんとか修復できるきっかけはあったのに、絶望してしまった石田ゆり子がそのチャンスを拒否してしまいます。
だからこそ、ある人物から自分のせいだったと告白された後、自分をも責めて泣きくずれてしまったのではないでしょうか。

この作品の重要な言葉は「未来は常に過去を変えている。未来は過去を変えることができる。」。

過去の出来事は、いつでも現在の自分の状況によって感じ方が変わってしまう。だから「過去」繊細なものなのだと。

そのときは最悪だと思っていたことが、結果的に将来的には幸せに繋がるものとなったり、その反対もしかり。今を生きる自分の立ち位置や主観によって大きく変化します。

映画の冒頭、石田ゆり子がニューヨークの住宅街を走っています。そして、ふと振り返り、歩道にある腰掛けることのできる置石を笑顔で見つめる。そこは、事実を知ったときに彼女が泣き崩れていた場所です。

映画のラストがちょっと曖昧で、いろんな解釈ができるのですが、その冒頭からも、わたしは主役の2人が遠回りしたのちに結ばれるラストなのだと思いました。

会っている回数が少なかろうが、出会ってしまって、惹かれあってしまって、愛してしまったのにすれ違い、違うパートナーとの人生を選んてましまった。その2人が事実を知ってまた出会う。映画はそこまでです。

静かに進む大人のラブストーリー。パリでのテロも描かれます。
実際のパリのテロが記憶に新しいだけに、あらためてテロの恐怖を感じました。
石田ゆり子さん扮する洋子は、すぐ目の前で同僚を亡くします。その爆発音のPTSDになり、工事の音や雷の音にも怯えてしまう。
二人がすれ違った夜、雷の音に震えて孤独に過ごした洋子は、余計に、その後の福山雅治演じる蒔野からの電話も拒絶してしまったのかもしれません。

少し残念なのはパリの街並みをもう少し見せて欲しかった。まったくもって、個人的な要求ですが(笑)。
それと石田ゆり子さんをもっと綺麗に撮って欲しかった。でもキラキラ女優オーラではなく、あの自然な感じがよかったのかもしれません。

福山雅治さんは、クラシックギターを学び、「幸福の硬貨」という曲は福山雅治さん自身の演奏です。
映画を観終わった後は、クラシックギターを聴きたくなります。
そして、やっぱりパリに行きたくなる。
2人が初めてパリで食事をするレストランがすてきでした。あのレストランはどこ?調べてみます。

秋の宵、レディースデイにはぴったりの映画でした。