パートナーが亡くなるということ | 夏は快適、冬は極寒の地

夏は快適、冬は極寒の地

日本人の私、ドイツ人の夫、二人の会話は英語、住んでいる地はスウェーデンの北の果て、なんともインターナショナル??

利用者Sさんの奥さんが亡くなった。

二人とも、訪問介護を利用していたのだけど
私が初めて訪問したときには
奥さんはすでに入院していいた。
病気で先は長くない、と聞いていた。

家に1人でいるSさんに初めて会ったときは
シャイな印象を受け、
あまり自分から話さない。
でも、笑顔がちょっとかわいい人。

ある日、私がアラーム担当をしているとき
同僚が電話をしてきた。
同僚が訪問してみるとSさんが家の中で
倒れていたのだ。
翌朝、同じく私がアラーム担当だったとき
同僚から電話が入った。
Sさんが再び倒れていたのだ。
Sさんのところには、夜中の巡回はないので
いったいいつから倒れていたのかは
わからない。
震えているので、かなりの時間、横たわっていたのか?

確か同じ日だったと思うけど、また倒れているところを
発見され、どこかをうったようなので、
病院に送られた。

しばらくして、退院してきたけど、
どうやら本調子ではなかったらしい。
その後、何度か病院を行ったり来たりしていた。

そして最近退院してきて、
訪問した同僚が一言
「やっぱり本調子じゃないわよ、それに
入院していたとき、髭もそってもらってなかったのよ!」

昨日、久々にSさんのところへ行った私。
ちょうど、奥さんが亡くなった日で、
子供からそのことを聞かされていたよう。
Sさんはソファに横たわっていた。
そしてびっくりした。
げっそりしている、髭もそっていない。
なんだか違う人みたい。。
元気じゃないのを承知で
「調子はどうですか?」と聞いてみると
「元気だよ」と返事をする。
Sさんはインスリン注射をすることになったので
「インスリン注射しますね。
おなか出してください」
とお願いしても、なかなか、ズボン(シャツ)が下せない。
注射をしたらしたで、すごく力が入っている。

「何か食べますか?」
「うん、食べる」
「どれにしましょうか、3つ選択肢があるんですけど
これでしょ、、(続いて次のを見せようとしたら」
「これでいい。」
とあっさり、心、ここにあらず。
「どのくらい食べられますか?全部?半分?」
「全部」

温められた食事を食べ始めたSさん、
食べることによって何かを(奥さんのこと)忘れようとしているのか?
とそんな風に感じられる。

Sさん宅ではインスリンと食事を出す、ということだけなんだけど
1人にしておいて大丈夫なんだろうか、と不安になってしまった。

子供たちも忙しいのだろうけど、せめて
2,3日一緒にいてあげることはできなかったのだろうか。
それとも、スウェーデンではこれが普通?
(子供、大人は家族であってもそれぞれの生活をする、
というような?)

そして、ふと私の母のことを思い出した。
父が亡くなったと聞いて、急いで帰国した私。
そして、1週間ほど母と一緒にいた。
キルナに戻る前日、叔母は母に
「明日からよやちゃん、帰っちゃって、Sさん(母の名前)
1人になっちゃうけど、がんばるんだよ」
と言い、
「そうだよね、ずっと一緒にいてもらうことはできないものね」
とさびしそうに答えていたのを覚えている。

パートナーの死、というのは、私は経験がないから
わからないのだけど、かなり辛いことなんだと思う。
長いこと一緒に暮らしてきた人が
ある日を境にこの世からいなくなってしまうのだから。
例えば、夜、寝る時、隣にはもうパートナーはいない。
いつか私にも来ることだろうけど(逆に私が先に逝くかもしれないけど)
想像するだけで、涙が出てくる。

Sさん、今は非常に辛い時期だろうけど
なんとか乗り越えて、また笑顔を見せてほしい、
と願うことしかできない私・・・