ろく男との関係にうんざり。
何かに縋りたい、誰かに優しくしてもらいたい。



そんな気持ちから、私はある男性を紹介してもらった。


別にお付き合いしたいとかは無かった。一応、ろく男とは別れた訳では無いし・・・。

なので、あくまで友人。


メル友になってもらった。


彼の名前を、優しいので仮で“優くん”にしときましょう。



優くんとのメールは楽しかった。相変わらずな、ろく男との関係で悶々していた毎日が、嘘のようだった。


しばらくメル友の関係は続いたが、実はまだこの時点で、優くんとはお会いしたことが無かった。



―会いたいな・・・―


でも、ろく男との関係を完全に断ち切った訳じゃないしなぁ・・・。



悩みながらも、飲みに誘われるまま出かけてしまった。私ってば軽い女だ・・・。


ろく男との件がある為、優くんとも慎重にならなければと、私は気合い十分で出かけた。



会ってみると、優くんは笑顔が可愛く、お世辞でも格好いい訳じゃなかったが、何だかホッと出来る男性だった。



・・・ん?


歩き方に何だか違和感を覚えた。


優くん『あ、実は僕、幼い頃に高熱を出して、その後遺症で、右半身に少し麻痺が残ってるんだよ』


優くん『だけど一生懸命リハビリとかして、ここまでになったんだ。僕は自分に弱い部分があるから、人一倍に痛みや弱さを分かる自信があるんだ。』


優くんはそう言って、恥ずかしそうに笑った。




私が、ろく男との別れを完全決心したのは、言うまでもない。
私が今まで、彼の為にとギリギリの生活で、一生懸命やりくりして渡していたお金は、どうやら“あずみ”という女子高生へのお小遣いに流れていたようだ。




ちなみに、明後日にはお小遣いが渡せるとは、私と会うとお金が貰えるので、それをお小遣いで渡せるという意味だ。




ありえない・・・。

ろくでなし過ぎるだろう?



とにかく私は頭の中が真っ白になりつつも、携帯を元に戻した。



―もう、ダメだ。この男とは別れよう―



そう決心しながら、私は何事もなかったように帰った。



お金は―

もちろん渡さなかった。



さぁ、別れるといざ決心したものの、どうしよう?


貸した200万は?


ただ別れるだけじゃつまらない。何か仕返してやりたい!



色んな気持ちが堂堂巡り。日にちだけが過ぎていった。




そんな時、私はある男性と知り合った。
桜の咲く季節になり、私たちは旅行へ出かけた。
と、言っても近場の温泉。


この時ばかりは、旅行だけを楽しもうと思っていた。

ろく男が浮気してるのは知っている。百も承知だ。いや、浮気ではなく本気?・・・二股かも知れない。


そんな全てのことを忘れて、旅行だけを楽しもうと思っていた。


いつも会うたびに、彼の携帯を盗み見するのが当たり前になっていた私だったが、この時はお風呂も家族風呂で一緒に入ることになっていたので、それも出来ないという安心できる環境だった。



とにかく楽しかった。お金は全て私持ちであっても、現実を見ないフリしていた。


久しぶりにエッチもした。旅行で、お互いテンションも上がっていたし・・・。



旅行も無事に終わりつつある翌朝。バイキングの朝食も済ませ、部屋に戻って帰り支度をしている時、ろく男が突然言った。


ろく男 『やべ?!腹痛くなってきた!こりゃ大変だ!』

そう言って、ろく男はトイレに駆け込んだ。


ろく男は、もともとお腹を壊しやすく、いったんトイレに入ると、なかなか出てこない。


私 『大丈夫ぅ?』


この旅行をきっかけに、私の気持ちは彼にすっかり傾いていたので、心から彼の体調を心配した。


ろく男 『う、うーん・・・』トイレで唸る彼。


そんな時、彼の無造作に置かれた携帯が、ふと目に入った。


(あと、2・3分は出てこない。今のうちだ!)


急に彼の携帯が見たい衝動にかられ、我慢できなくなった。


いつものように携帯を開いてチェックすると、いつもと違っていた。彼は油断していたのか、送受信メールも着信履歴も全て残ったままだったのだ。消し忘れていたのだ!


いくちゃんとのメールは、彼女の家へ行っている決定的なメールが数通あった。それも、頻繁に彼女の家へ行っているようだった。


わかってはいた事だったが、やはりショックだ。


(私のほうが浮気相手なのかなぁ?)


そんな事を思いながら、他のメールも見る。


知らない名前のメールが頻繁に出てくる。それも、フルネームで登録している。

―山田あずみ―


誰?まったく知らない。娘の名前とも違うしな?誰なんだろうと、私は送信メールを見た。



そして・・・今までの謎が解けるのだ。



ろく男手紙 『おこづかい足りてる?そろそろ足りない頃じゃない?明後日にはお金が入る予定だから、学校が終わったら会えないかな?会いたいよ。』

あずみ手紙 『うん!そろそろヤバかったんだ。助かりまーす!明後日はバイトも休みだし、少しの時間だったらいいよ。』

ろく男手紙 『この間は両親に怒られたんでしょ?門限の9時過ぎちゃったもんね。反省してます。ごめんね。』

あずみ手紙 『仕方ないよ。門限も、大学生になるまでの我慢だよ。』

ろく男手紙 『早く会いたいね』




おこづかい、会いたい・・・。
謎は解けた。そういう事だったのだ。ろく男は、とうとう女子高生を買っていたのだ。