俺はかつてバス運転手をしていた。
経歴としてはちょっと複雑だが、
とりあえず20代前半だった頃、
俺はとにかく田舎で暮らしたかった。
田舎で生活するとなると、
仕事は限られてくる。
でも力仕事はしたくなかったし、
出来れば車とかを運転する仕事がしたかった。
そこで思いついたのはバスの運転手だ。
のんのんびよりというアニメで、
キャラクターが登校する時に利用しているバスがあると思うが、
まさに俺はあんな感じの路線を運転していた。
都会で路線バスを運転したことはなかったが、
きっと客と運転手の距離は遠くて冷たい。
そんな気がする。
しかし俺のいた町では、
みんな家族のようだった。
暑い日には冷たい飲み物を差し入れてくれて、
寒い日には温かい紅茶を差し入れてくれた。
仕事っていうのは憂鬱なもんですが、
初めて仕事が毎日楽しいなって感じた。
そんなある日、俺はいつものように運転をしていたら、
前方に停車している普通車と遭遇した。
どうやら困っている様子だったので、
降りて話を聞いてみたら、
バッテリーが上がってエンジンがかからないそうだ。
たまたまエンジンスターターを携帯していたので、
貸してあげることにして、事なきを得た。
後日、その助けた人がわざわざ営業所までお礼をしに来てくれた。
ほんとに人の輪が濃いなぁって思った。
ちなみに今でも俺はこの町で暮らしている。
