もう一人のコワぃ女 | グローバルに波乱万丈




...で


そのもう一人のコワぃ女というのは、友達のガールフレンドのことなんですよ。


なにやら、チロル地方の大家のお嬢さんなんだそうで、

ソルボンヌで教えていたこともある経済学の教授で、

オーストリアの美的感覚だと、かなり美人らしいんですけどね。



彼女とは、何度か会ったことがあったんですが、

友達は彼女にぞっこんで異常にチヤホヤしてるところがあったし、お高くとまってる雰囲気があって、

彼女のこと、あんまりいい印象じゃあなかったんです。


にこやかな会話を交わしながらも、お互いの間に、見えない壁みたいなものがったんですが、

私、お寿司作り時のお母さんの言葉に、めちゃくちゃ腹が煮えくり返っていたので、

    

                そんな気持ちを隠してヘラヘラできる、コワぃ女
                                 ↓

         
   

お母さんがそれほど好きではない様子が察しられる彼女に、「話、聞いてっ。」 

彼女は、私のムカつきように、「何ぃ? 何ぃ? 何ぃ?」 と興味深々で、

私達の間にあった見えない壁、一瞬にぶっ飛んでいき、いきなりベストフレンド。



二人でキッチンの片隅でのひそひそ話で、

結局、一番お母さんの文句を言っていたのは、彼女の方だったんですけどね。

「息子の家なのに、勝手にキッチンの整理整頓し直ししたりするのよ。 普通じゃないわ。」 とか。

考えてみれば、彼女にとってお母さんは、姑的な存在ですから。



パーティ後、そんな彼女のお母さんへの不満を知り、

「だからかぁ...」 と彼女がお寿司パーティでしたこと、納得したんです。




お母さん、料理の腕がずっごい自慢で、確かに、オーストリアの伝統的な料理は上手なんですが、 

最近はオーストリアもベジタリアンが増えているくらいですから、

豚肉&ポテトなヘビーな伝統料理、若い人達には人気がなく、





お母さんの息子達や孫達も、もっとライトで、珍しい、お寿司やタイ料理が好きなんです。

でも、お母さん、慣れないお米は食べないし、海がない国育ちでエビ以外の魚介類は好きじゃあないし、

食べれないくらいだから、作れないんですよ。


得意なお菓子作りにしても、

孫達に、なんのお菓子を作ってほしいかと訊けば、

ベーキングの腕など必要のない、アメリカンな、 「チョコチップクッキー!」 と言うんだと、

愚痴ってましたし。


ですから、息子達や孫達に、自慢の料理やお菓子をあまり喜んでもらえず、

招待しても、ティーンの孫達、来ると言いながら来ないことがよくあり、

お母さん、私のお寿司パーティに、孫達は大喜びで、全員集まったこと、気に入らなかったわけです。




いやー、友達のガールフレンド、

日ごろの不満のうっぷん晴らしのチャンス、逃しませんでしたね。


皆がテーブルに付いた時、

ワイングラスを挙げ、

「こんな信じられないような、とってもとっても素晴らしいディナーを用意してくれたヤヤに、大感謝!!」

と乾杯の音頭を取ったんです。


もう、思い切り火に油。


私も私で、お母さんに天ぷらを揚げさせたので、

「いえいえ、私だけじゃあないのよ。 お手伝い、ありがとう!」

と、お母さんに向けてワイングラスを挙げ、立てりゃあいいものを、

言葉が口の先まで出ていたのに、飲み込みました。 ごっくんと。

そして、皆の 「ありがとう!!」 という言葉、自分一人で 「どーも、どーも。」 と浴びましたし。


(ねー、女ってコワいですよ。)




さすがに、お母さんと目を合わすの避けましたから、どんな顔してたのかわかりませんが、

嫉妬で、頭から蒸気が上がってたんじゃあないでしょうか。


皆がまだ食べているのに、

お母さん、立ち上がり、キッチンでバタバタ大きな音を立てて、片付けし始めました。



そのこと、後で、友達のガールフレンドは指摘してましたけどね。

「パーティ中に片付けだなんて、マナーがないわ。 

でも、きっと、皆のために無我な私は働いてるのって、アピールだったんじゃない?」 って。




それから、お母さん達の人種差別的な発言やジョークについても、話になったんですが、

彼女、「私、“それ、どういうことですか?” と反論するの。

だって、もし何も言わずに黙っていたら、自分も同じレベルに下がっているということじゃない。」

友達がテーブルの下で、“もう止めろよ。” と足をつついても、無視して続けるんだそうです。



そこまで自分に正直に生きれたら、随分楽でしょうね。

日本人の私にはちょっと難しいですが、でも、彼女を少し見習い、

人種やゲイに関するジョークへのつられ笑い、今後、絶対にしないと心に誓ったんです。




...と、コワっな三人の女ですが、

私とお母さんとの関係にしろ、友達の彼女と私の関係にしろ、

結果的に以前より良くなったんで、今回のこと、よかったのでしょう。


お母さんと友達のガールフレンドの関係は、私が愚痴ってしまったから、

「やっぱりねぇ。 不満を感じているの、私だけじゃないわ。」 となりそうですが。 (汗)