25年前、アメリカ生活を始めた当時、一番ツラかったのは、
外国人の中で、日本での自分が通用しなくなり、自分がわからなくなったこでした。
自分が自分でなくなる、
英語の表現で、アイデンティティーを失ったって感じですかね。
自分で言っちゃいますが、
日本にいる頃は、結構お洒落な人をしてまして、
当時流行っていたボディコン&パンプス、アメリカンなカジュアルなどを着こなしてたんです。
それに、まあまあユーモアのセンスもありまして、
お洒落で、笑わせる、面白い人っていうのが私だったんですよ。
それが、渡米し、
日本のファッションは独特なので、持って行った服はアメリカでは滑稽で、
アメリカンだと思っていたものは、単なる和製アメリカンだし、
ショーウィンドーに並ぶ服を買い揃えるお金があったわけじゃないし、
自分がダサい人になったようで、しんどかったです。
まあ、それでも、少しずつでもアメリカの服を揃え、ファッション感覚を身につけ、
またお洒落な人になるまでは、(自分で言っとります。) それほど時間はかかりませんでしたが、
人を笑わせる人になるのは、十年以上かかったように思います。
アメリカのユーモアのセンスは、随分日本とは違いますし、
政治や話題のニュースを追い、風習、文化的なことなども把握する必要がありますし、
いろんな言葉や表現、言い回しを、とっさに言えるほど知ってないといけません。
それに、頭の中が英語じゃないと、
日本語で考え、英語に変えているようじゃあ、タイミングを逃してしまいます。
長い間、私は、人を笑わせることができない、つまらない人、面白くない人だったんです。
私にとっては、これはかーなりツライことでした。
特にアメリカ社会では、ユーモアセンスはとても大事で、
一般人でも、普通の会話の中で気の利いた面白いことを言える人、多いですし。
今では、アメリカでお洒落して、アメリカ版関西人並みに人を笑わせて、
自分でいることができ、心地良く生活していますが、
突然、日本で通用していたアイデンティティーを失うこと、
外国生活の始めで一番ツライことのように思います。
ちなみに、私、日本では、
流行廃りの激しい日本のファッションは全くわからず、全然追っていず、
流行なようすの茶色い髪ではなく、頑として黒髪の私は、きっとダサい人で、
日本語のボキャブラリーが限られ、
突っ込みやボケが浮かんでも、日本語に換えているうちにタイミングを逃し、
つまらない、面白くない人ですけどね。