“プライスレス”の本当の意味 | グローバルに波乱万丈




日本でもやってましたかね? 

マスターカードの “プライスレス” のコマーシャル。

いくつか値段をあげ、最後に値段のつけれない、お金では買えない大切なもので締めくくるのですが、

いろんなのがある中で、ひとつ、何度見ても目が潤んでいたのがあったんです。



残念ながら、YOUTUBEで探しても見つからないのですが、


まず、過去の思い出、フラッシュバックというかたちで、

幼児がお母さんに向かって泳ぐシーンが出て、“スイミング・レッスン ○○ドル” 

ホッケーの格好の男の子が、他の子にぶつかりひっくり返るシーンで、“ホッケー・キャンプ ○○ドル”

車に乗ったティーンの男の子が、メールボックスに衝突するシーンで、“ドライビング・レッスン ○○ドル”

そして、

大学の寮の前で、青年が両親の車を降り、引越しの荷物を抱えて歩いていくシーンで、

見送りながら、うっとなった顔の母親が映り、

“BEING ABLE TO LET GO...”  (手放すことができること...}

とナレーションが言うのですが、声が詰まり、戸惑い、

少しを間を置いて、笑顔になった母親の顔と、ナレーションが自信に満ちた声で改めて、

“BEING ABLE TO LET GO IS... プライスレス” 



ナレーションの声が途切れるところで、いつも胸がぎゅっとなり、

まだ息子達は中学生くらいだったのですが、息子達が出て行く日を想像し、

いつか自分も子供を手放さないといけない時がくるのだと、じーんとなっていました。




幸い、息子達は地元の大学を選び、寮に入ることはなく、

長男の専攻の大学も大学院もキャンパスは、うちから15分もかからないところでしたので、

ずっとうちから通いましたが、


去年の12月に大学院を終え、

大学院から依頼が入り講師となり、フリーランスの仕事も順調に入る状態になり、

来週、うちを出て、8年目のつき合いになるガールフレンドと、アパート生活を始めることになりました。




前夫の事故の後も、入院中も、死後も、

どこで暮らしていいのかわからず、アメリカ、日本、ヨーロッパ、さ迷った時も、

ロンドンのアパートでウツになっていた時も、

誰も知らない来たこともなかったフロリダに、人生の建て直しにやって来た時も、

この24年間、私は一度も、ひと時も、息子を手放したことはありませんでした。







あと数日で、息子は私の元から離れていきます。




今になって、あのコマーシャルの “BEING ABLE TO LET GO” と母親の笑顔の本当の意味、

わかったような気がします。



手放すことが出来るというのは、


自立できるだけの収入があるように、導いてやったから...

どんなことがあっても負けないような、強い精神、自尊心を養ってやったから...

どこに出ても恥をかかないような、マナーや会話術を身に着けてやったから...


ということも、もちろんあるでしょうがが、でも、何よりも、


靴ひもも結び方から、挨拶の仕方から、足し算から、自転車の乗り方から、

いちいち口出し、手取り足取り教える、教えないといけない立場から、

少しずつ、黙って見守る役に変えていき、

失敗しても、失敗するのが目に見えてても、胸が抉られる思いをしながらも、それでも黙って見守り、

ちゃんと出来ると子供を信用するよう、自分に言い聞かせてきたから...

そんな信頼関係を築いてきたから...



子供を笑顔で、手放すことができること... 本当にプライスレスなことです。