25年前、渡米時、ビックリしたことの一つは、
咄嗟のジョークをうまく交わすニュースの司会が、元弁護士で、大学時代フットボールの選手だったり、
体操のオリンピック選手が、ハーバードの学生で、コンサートをするようなピアニストだったり、
有名人に限らず、アメリカには多才な人が多いことでした。
今、アメリカで、特に若い人達に大人気のネール・デグレイス・タイソン氏は、半端じゃあないんです。
ハーバード卒業生の彼は、物理の学位、宇宙学の博士号を持ち、
政府やNASAのアドバイザーの経歴がある科学者なんですが、
少々のコメディアンよりよっぽどユーモアがあり、少々の作家や詩人より感動することを言い、
少々の司会者より会話が上手なんです。
その上、彼は、学生時代はレスリングとボート競技の選手。
また、大学院時代は、ラテン・ダンスの選手権で国内一位なったこともあるんだそうです。
昔、日本でも放送されていた、カール・セーガンの宇宙科学番組、 『コスモス』 が、
今年から、ナショナル・ジオグラフィック・チャンネル等で、再開されるのですが、
故セーガン氏を継いで、彼が司会をすると発表されています。
同じく半端じゃなく多才な、俳優、歌手、アニメーター、脚本家、映画監督であり、
去年のアカデミー賞の司会を、かなり見事に遣り遂げたセス・マックファーレインが、
新『コスモス』 のプロデューサーですから、
きっとユーモアたっぷりの、洒落た楽しい番組になると期待されていて、
我が家も、とっても楽しみにしているんです。
今はよくわかりませんが、私が日本で学生の頃は、
優等生のクラスメートは、大抵ダサく、真面目過ぎであまり面白くなく、
スポーツをしているクラスメートは、成績がそれほど良くはなく、
ユーモアがあり、いろいろ知ってて話が楽しい子は、成績はまあまあの帰宅部、というが普通でした。
もちろん、例外な生徒もいましたが。
日本の教育システムだと、なかなか多才な人は生まれないのかも知れませんね。
長男の日本の友達は、低学年の頃から野球を始め、高校も野球校に行った野球少年でしたが、
長男が日本に行っても、毎日、夜遅くまで練習、週末は試合でなかなか遊べず、
夏休みにアメリカに遊びにおいで、と何度も招待しましたが、
休み中もずっと練習で、結局、一度も来れませんでした。
今は、マツダの下請けの工場で働いているようです。
日本は、勉強をとるか、スポーツをとるか、になり、
また、勉強またはスポーツを選ぶと、他のことは犠牲にして没頭することになり、
いろんなことを経験するチャンス、逃してしまうのか知れませんね。
アメリカは普通、受験はないし、学校の時間も短いし、宿題もそれほど出ませんから、
バイトやボランティア活動したり、習い事したり、随分ゆったりしています。
また、スポーツは年中ではなく、年に三、四ヶ月だけのシーズン制ですから、
勉強に差し支えはないし、別のシーズンに他のスポーツをすることも出来るんです。
常に、“とことん”、“徹底的” な日本文化ですから、
多才にはなるのは、ちょっと難しい国なのかも知れませんね。