長男達、日本から無事に帰ってきました。
日本の自然、伝統、そして食べ物に感動し、社会に首を傾げ...
身内や知人からとても良くしてもらい、他人には透明人間かのように扱われ...
いろんなことを感じた、有意義な二週間だったようです。
“可愛い子には旅をさせろ” ですね。
長男が日本に行っている間、ずっと考えていたことがあります。
“可愛い子には旅をさせろ” よりも、“獅子の子落し” が近いかも知れません。
先月、卒業した長男は、うちから十五分ほどの大学院で講師をし、
インターネットを利用して、カリフォルニアのゲーム会社などと仕事をします。
7年越しの彼女は、一年弱前から、お姉ちゃんと二人でアパートに住み始めたので、
お姉ちゃんを追い出し、息子と暮らすわけにはいきませんし、
今のところ、息子は引き続き、わが家に住む様子です。
基本的には、状態は今まで通りです。
でも、もう学生ではありませんから、今まで通りではいけません。
“The most important thing that parents can teach their children is
how to get along without them.”
“親なしにきちんとやっていけることが、親が子供に教えれる最も大切なことである。”
(英語だと流れがいいのですが、ごめんなさい、うまく日本語に訳せません。)
ここ最近、この言葉がずっと頭の中に響きます。
今まで、養ってやり、守ってやり、支えてやり... やってきました。
母性本能に従えばいいわけでから、精神的な葛藤はそれほどなかったように思います。
購買しているニュース雑誌に、日本の人口減少についての記事がありました。
結婚しない若者が増えているという話の中の、ヒキコモリの説明に、
“日本の親子関係、特に母親と息子は、お互いの存在に頼っている共生、相互関係である場合が多く、母親が引篭もることを許している。”
とありました。
確かに欧米と比べ、日本の母親は子供に対しての執着心が、良くも悪しも強いのかも知れません。
だから、姑嫁の摩擦が生じ、問題となるのでしょう。
私も、子供達が小さな頃は、執着心が強かったかも知れませんが、
息子達が高校卒業して以来、少しずつ、いい意味での距離を広めたつもりです。
高校時代から、バイトやフリーランスで稼ぐお金でガソリン代や外出代を払わせ、
何年も、お小遣いを渡すことは一切ないのですが、
日本語で言う “社会人” となった長男を、もう少し押し離さないといけません。
車の保険代、携帯電話代など、自分で払わせ、
高速道路料金など、自動引き落しの口座を別にします。
3月にゲーム業界のコンベンションがサンフランシスコであるのですが、
参加費、航空券、ホテル代等で、十万円近くかかります。
学生だった去年は払ってやったのですが、今年は全て自己負担させます。
今まで幼稚園からずっと、お弁当を作ってやってきましたが、それも止めです。
主人は優しい、あまい人なので、その決意を話すと、
「でも、もしもの時のためのアメリカン・エクスプレスは、今まで通り、持たせたままにするんだろ?」
「ダメ、ダメ。 返させるわよ。 自分名義のクレジットカード、作らせないと。」
「......」
モロッコでは、子供は結婚まで親元で暮らし、親が面倒をみてやる文化ですから、主人もしんどそうです。
幸い、長男本人は自立に憧れていたので、張り切っている様子なのが、私達の気持ちを楽にしてくれます。
親が教えてやれる最も大切なことは、親には最もしんどいことで、主人と私にとっても苦手なことですが、
息子のために頑張ろうと心に誓ったところです。