あんたにはわからんじゃろうよ | グローバルに波乱万丈

何十年も連れ添う夫との結婚は間違いだと決め付け、不幸な自分が可哀相でしょうがなく、愚痴を言い続ける彼女。

私が何か言うと、「あんたには、わからんじゃろうよ。」と彼女は言う。 

“いい結婚をし、優しい旦那さんのいる幸せな私には、不幸な彼女の気持ちなどわからないだろう”という意味なのである。



彼女にそう言われると、私は黙り込む。 

彼女の言うことが当たっているからではない。 私がパーフェクトな結婚相手をみつけ、パーフェクトな幸せをつかんでいると、彼女が思っているなら思わせていればいいと思うから...

主人のネガティブなところ、私達の結婚のネガティブなところを彼女に説明する必要もないと思うから... 

私は何も言わない。 



私の主人は日本からは遠い、遠い、文化も習慣も考え方も違う国の人。 

どうしても相手の判断、行動が理解できず、納得いかないことがたくさんある。 

昔は主人の不思議な言動に、“本当に同じホモ・サピエンスなの?”とよく思ったものだ。

 

お互いへの愛情は十分にあっても、二人三脚の結婚は愛情だけはいかないことも多い。 

一緒に家庭を“運営”していくにあたり、違いが不満、不愉快、いらだち...衝突の原因となる。



喧嘩して夜中に車で飛び出し、行くところがなくて辺りをぐるぐる回り、誰もいない駐車場の陰で声をあげて泣いて過ごした夜が何度あっただろうか。 

「もう我慢できない。 離婚する。」と決心したことが何度あっただろうか。 



その度に話し合い、考慮し合い、許し合い... 

それを繰り返すうちにお互いを理解していき、いい関係のために言ってはいけないこと、言わないといけないこと、やってはいけないこと、やらないといけないことを把握していった。



嫌なことに目を瞑り、むっとくる気持ちを飲み込み、時には黙り込みたい気分でもちゃんと思いを伝え...

忙しくても相手の話を聞き、疲れていても一緒に出かけ、興味もない番組を横に座って観て...

お互いの日々の小さな努力の積み重ねで、バランスを取ってきている。 

いくら夫婦でも、人との関係なんてそんなもんだろう。




パーフェクトな結婚相手だったわけでも、パーフェクトな幸せでもない。 

そんなものは存在しないのかも知れない。 

20年近くの二人の努力で今の私達がいる。 


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でも、そんなことを彼女に説明しても仕方がないと、私は黙り込む。