アンデスの谷の変形頭の民族 | グローバルに波乱万丈
昔、ペルーの山奥のある深い谷を隔てて、頭の形が長すっぽく尖がった一族と頭の形がへちゃげて平べったい一族が住んでいました。


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数年前に家族で訪れたその谷は、最高標高4910メートルもあるところで、まるで火星のような風景の峠を越えて、バスで4時間以上かかるところで、空気が薄く、体力的も精神的にもハードな場所でした。 

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現在は、標高3600メートルの高さのその谷に小さな町ができていますが、20年余り前にダムの建設のために道が通り電線が引かれるまでは、そこの人々はほとんど外との交流がなく、何百年も伝統的な生活をしていたそうです。

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すれ違いには、よそ者の私達にも微笑んで挨拶をしてくれるフレンドリー人達でした。

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街をぶらぶらしていると、女性達がかぶる帽子には二種類あるのに気がつきました。

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うちに帰ってからもその帽子のことがどうも気になって、いろんな記事や書物を読んで調べてみたのです。 

詳しい部分は省いて、わかり易くすると、こういうことになります。 

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多くの他アンデスの民族のように、この谷の人達は山を神として崇めていました。 

片方の谷の民族はあるとんがった山を、反対側の谷の民族の神はある平べったい山を崇拝していたのです。


自分達はその山の神の子孫と信じたその二つの民族は、神のようになりたいと、頭の形をそれぞれの山の形にしたのです。 乳児の頭に木の型をはめ、形を作りました。


それぞれ言葉も習慣も違う、誇り高い二つの民族は、自分達の伝統を何世紀も守りつづけ、民族間での結婚も許されませんでした。 



16世紀、黄金を求めてこの地域を征服したスペイン人は、奇妙な頭をした民族を不気味に思い、頭を変形することを禁止したのです。


そこで、自分達の違いを明らかに示すために、お互いとは違う服装をし始めました。 その名残が二つの帽子なのです。





現在は二つの民族が混じっての町や村で生活をし、結婚も許されており、二つの民族間に産まれた娘は母親側の民族の帽子を受け継ぐのだそうです。



町に住む若い人達の中には、ジーンズをはいた女の子も見かけましたが、それでも、自分の民族を象徴する帽子は必ずかぶっていました。




自分の文化を誇り、伝統を守ろうとするこのアンデス民族を、日本人も見習うべきかも知れません。




余談ですが...

私達家族は、標高3600mの空にとても近く、街から4時間の近代文化から遠く離れた、街の明かりのない、物音一つもしない、真っ暗闇のその谷で夜空を見ました。

夜空一面に、信じられないほどの数の星が、信じられないほど明るく輝き、感動で涙が出そうでした。

「写真には撮れない。だから、しっかり頭に焼き付けようね。」

そう言いながら、家族四人、夜空を見上げていたのでした。