台北にいたとき、父に誘われて一緒に牛肉麺を食べに行った。
35年生きてきた中で、初めて一緒に牛肉麺を食べた。
父のお勧めの店で、若い頃、
つまり財布にお金があまりなかった頃から
よく通っている店だそうだ。
台北駅の近くにあり、学生がたくさん集まっているところに
佇む狭くも広くもないお店。壁に賞状がかかっている。
牛肉麺の食べ比べ大会で一位を取ったそうだ。
正直、私にはその味はまあまあだった。
でも、父が好きな牛肉麺の味を一度試してみないと、
将来後悔すると思って、一緒に行った。
しかも父の好きな店で一緒に食事するのは
これからめったにないと思ったから。
あの日、あの店で麺を食べたことは
ごく普通の生活の中のワンシーンだったけど、
ちょっと特別な思い出になった。
時々、物を食べるとき、その味はまあまあ大事だけど、
それより意味があるのは思い出かなあ。
味がよっぽどまずくなければ、
思い出が最高の調味料になってくれる。
いつか池袋のあるワッフル屋さんで食べたワッフルのように。
出産直前、産後、妹が帰国する直前、
同じ店で同じメニューを3回も頼んだ。
台北に帰って、おいしいワッフルを探してみたが、
いいのがなかなか見つからなかった。
そのワッフルの旅を終えた後、私は思った。
たとえとびっきりのワッフルに出会えたとしても、
あの池袋のワッフル屋さんのワッフルに匹敵できないだろうと、
なぜなら、この世で手に入らない調味料がかかっていないから。
思い出に耽る。思い出を味わう。思い出を食べる。
