23年までに化粧品の動物実験を全世界で禁止 EU呼びかけへ
20181/11/16 [ シッポ ] 犬や猫ともっと幸せに
https://sippo.asahi.com/article/11949734
動物実験の廃絶に向けて常に世界をリードするEU。そのEUで、欧州議会が2018年5月3日、化粧品のための動物実験の世界的禁止を目指す決議を採択しました。
これは化粧品のための動物実験実施の禁止と、動物実験をした化粧品の販売の禁止という2段構成のEU化粧品規制を、国際的な取引のロールモデルとして、2023年までに世界的な禁止を実現させようと呼びかけるもので、これを国連という枠組みを使って訴えていこうと具体的に決議しています。
決議文書(英文)
European Parliament resolution of 3 May 2018 on a global ban to end animal testing for cosmetics (2017/2922(RSP))
EUは、
EUのなかで行われる動物実験について
・2004年から化粧品の完成品の動物実験禁止
・2009年から化粧品の原料の動物実験禁止
EU以外で動物実験が行われた化粧品の販売について
・2009年から原則禁止
・2013年から一部例外とされていた動物実験についても代替法の有無にかかわらず完全に禁止
というように、9年かけて段階的に完全禁止を実現しましたが、
1. 200万という雇用を創出している世界最大の化粧品市場であるEUで、この動物実験禁止という措置が市場の発展を脅かしていない
2. (※しかし残念ながら)販売禁止について、動物実験が義務付けられている他国からEUに輸入される化粧品について、動物実験がなされていないことが確実に担保されているとはいえない
3. (※とはいえ)EUにおける化粧品の動物実験禁止は画期的で、それが実現可能だということを世界に示すことができたと考えている
としています。
また、決議文書によれば、国際的には、グアテマラ、アイスランド、インド、イスラエル、ニュージーランド、ノルウェー、セルビア、スイス、トルコでは化粧品の動物実験を禁止しており、その他の国でも禁止に向けた進展がみられますが、世界の80%以上の国(※日本も当然含まれる)では、いまだに動物実験が許されています。
「全世界で高水準の動物福祉の確立が必要だ」と考える90%ものEU市民の声を受けて、国連の中心的存在であるEUが、国際的な化粧品の動物実験禁止に向けて国連のなかでさらに力を発揮していこう、というわけです。
民間レベルでは、化粧品の動物実験反対を唱える化粧品企業の草分け的存在、ザ・ボディショップが国際的な動物保護NGO、CFI(Cruelty Free International)とともに「世界中で化粧品の動物実験を永久に廃止する国際条約の制定」を求めるキャンペーン“FOREVER AGAINST ANIMAL TESTING(フォーエバー・アゲインスト・アニマルテスティング)”を展開していますが、全世界から集まった800万筆の署名が去る10月4日、ニューヨークの国連本部に提出されました。
世界的な化粧品の動物実験廃止に向けて、いよいよカウントダウンが始まりました。ここ日本でも、化粧品の動物実験を終わらせるために一緒に声を上げていきましょう。
(※は訳注)
~転載終了~
実は身近な動物実験、密室で失われる命の実態知って
2018/11/19 オルタナ
http://alternas.jp/study/news/76491
生活に溢れる日用品や食品に入れられる添加物などの安全性を確認するために、また医療などの分野でも動物実験が行われていることを、皆さんはご存知ですか?
世界では概算で1億1,530万頭、日本でも2,000万頭(推定)の命が、毎年動物実験によって失われているといいます。代替法も少しずつ開発されているといいますが、密室で行われる動物実験、その実態はまだまだ明らかになっていません。動物実験の廃止を求めるNPOに話を聞きました。(JAMMIN=山本 めぐみ)
身近に存在する動物実験
「動物実験廃止のための活動と聞くと過激に聞こえるかもしれない。今すぐ動物実験をゼロにするのは無理でも、まず動物実験が実は身近にあるという事実を知り、考えてみてほしい」
そう話すのは「NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA・ジャバ)」(東京)の職員である山本三保(やまもと・みほ)さん(56)。JAVAは、動物と人間が共に生きられる豊かな社会を目指し、世界の動物愛護団体と連携をとりながら、動物保護活動に取り組んでいます。
動物実験の実態を広くたくさんの人に知ってもらい、その廃止を求める活動をメインに行いながら、動物実験廃止のために代替法の推進や転換を求める活動にも力を入れています。
日本では、動物実験の実態を知らない消費者がほとんど、と山本さんは指摘します。
「例えば化粧品の場合、EU諸国では動物実験についての知識をしっかり持った上で、消費者が買うか否かを選択している。動物実験の実態を知ると多くの人がショックを受ける。ウェブサイトやパネル展などを通じ、実態をもっとたくさんの人に伝えたい」
「動物実験反対=タブー」の現実
「動物実験に反対することが、暗黙のうちにタブーとされているように感じる」と話すのは、JAVAボランティアスタッフの石島伊代(いしじま・いよ)さん(31)。
「『動物実験はかわいそうだけど、人間の生活には必要不可欠なものだから仕方ない』という認識が刷り込まれているのではないか。知る機会がないから、事実を知らないまま『動物実験に反対=タブー、過激』というイメージにつながってしまうような部分があるのではないか」と疑問を投げかけます。
「化学物質が使われているものについては、ほとんど全ての製品が動物実験を経てつくられていると言っても過言ではない。動物実験というと薬や医療の実験というイメージが持たれやすいが、何もそれだけに限らない。サインペンなどの文房具から、洗剤やクリーナー、化粧品、子どもの玩具に至るまで、ありとあらゆるものに動物実験が行われている」(山本さん)
痛みや恐怖に苦しめられたのち、失われる命
では、実際にどのような動物実験が行われているのでしょうか。
「実験の内容によって使う動物の種類が変わってくる。ヤギは体が大きいので心臓の研究に使われることが多く、サルは人間に近い動物と言われ、医薬品の開発や医療技術の研究などに使われる。マウスは最も実験に使われる動物で、ありとあらゆる研究に用いられる。このマウスを含めラット・モルモット・ウサギは化粧品の実験によく使われ、ネコは神経系の実験、イヌは毒性試験、外科手術や移植研究、歯科の研究にも使われる」(山本さん)
動物実験の実態はまだまだ明らかになっていないことが多いといいますが、ウサギを使った動物実験の例を語ってくれました。
「シャンプーなどが人間の目に入った時の目への刺激を調べる試験に、ウサギが用いられている。ウサギは体の割に目が大きく、また生態として涙腺が発達しておらず、涙が上手に出せないことが理由。試験物質が流されにくく、実験しやすいという点がある。3〜4日間ウサギを拘束して、定期的に試験物質を点眼する。刺激が大きいものだと、ウサギの目が腐ってしまうこともある」
「私たちの目に入っても十分痛い化粧品だが、市販のものはあくまで原料を薄めて配合したもの。ウサギの目に試験のために入れられるのは、薄められていない原液。当然だが、痛ければこすったり舐めたり暴れたりする。そうさせないために首かせで体を固定して、顔だけ出した状態で点眼を繰り返す。自分で目をこすることもできず、痛みで暴れ、首の骨を折って死んでしまうウサギもいると聞く。実験を行った後は、皆殺処分される」(山本さん)
心理学の実験等にも動物の命が用いられる
「このことは逆に、実は私たちの周りには危険なものが多いということも教えてくれる」と山本さん。「消費者として『使わない』という選択も時には必要」と話します。
一方で、動物実験は日用品のみならず心理学や栄養学、生物学、生理学の分野でも行われているといいます。小中学校で行われる解剖実習など、教育分野でも動物実験が用いられるケースは少なくありません。軍事兵器や軍事訓練のためにも動物実験が用いられています。
「動物実験は密室で行われるため、その実態をなかなか知ることができない。内部告発などで情報や写真が表に出ることもあるが、そうたやすく得られるものではない。動物実験の廃止を求める活動をしていてさえも、動物実験の実態の多分半分以上もわかっていないのではないかと感じる」(山本さん)
様々な実験に用いられる小さな命。「何も知らなかった時は『動物実験は必要なものだから仕方ない』と見て見ぬふりをしていた」と語る石島さんは、ある1枚の写真を見て、意識が変わったといいます。
「小さな犬がこちらを見ているが、足に大きなダメージを負っている写真。ストレスの心理状態を調べるために、何回も足をハンマーで砕かれ、何の手当もなく、ただ実験に使われる。こんなことが、現実で起きている。この写真を見た時、この犬の痛みや悲しみを『仕方ない』で片付けることができなくなった」(石島さん)
代替法により、動物実験はなくせる
近年は、動物実験に代わる代替法の開発も少しずつ盛んになってきているといいます。動物実験をなくすためには、「動物がかわいそう」という感情的な主張だけでは通らないと石島さんは話します。
「動物実験の代わりにどのような代替法があるのかということも含め、倫理的な面と科学的な面から『動物実験はなくせる』ということを主張していく必要がある。私たちは専門家ではないが、代替法の学会へ参加したり、海外の団体と連携して、他国で既に廃止になった実験に対して日本でも廃止するように省庁へ働きかけたり、海外の専門家の協力してもらって代替法を大学などの教育現場に提案したり、地道な活動を続けている」(石島さん)
「特に化粧品の分野では代替法の開発も進んでおり、ヒトの培養細胞や精巧な皮膚モデル、他にもコンピュータシミュレーションや、MRIなどによる画像診断、データ解析を使った方法などが出てきている。政府や市民団体の支援もあって高度な技術を駆使した代替法が世界各国で採用されているが、十分とは言えない。代替法の開発や普及を進めるためにも、私たち国民の『動物実験ではなく代替法で』という声が重要」(山本さん)
動物実験の実態を一人でも多くの人に知ってもらうためのチャリティーキャンペーン
チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)は、JAVAと1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルのチャリティーアイテムを販売します。
「JAMMIN×JAVA」コラボアイテムを1アイテム買うごとに700円がチャリティーされ、動物実験の実態を一人でも多くの人に知ってもらうため、街頭で配布するPRティッシュの制作費用になります。
「動物実験の実態を伝えるためにパネル展などの啓発活動を行っているが、PRティッシュを配布することでより多くの人に実態を知ってもらい、そしてまた一緒に活動する仲間を増やすことができたら」(山本さん)
JAMMINがデザインしたコラボデザインに描かれているのは、人間と同じように、ありのままの姿で日常を生きる動物たち。それぞれの生き物が、同じ瞬間を何にも縛られることなく、苦しんだり痛めつけられたりすることなく自由に生きてほしい、という思いを表現しました。
チャリティーアイテムの販売期間は、11月19日〜11月25日までの1週間。チャリティーアイテムは、JAMMINホームページから購入できます。
JAMMINの特集ページでは、動物実験の実態について、山本さんと石島さんへのより詳しいインタビューを掲載中!こちらもあわせてチェックしてみてくださいね。
・身近な日用品開発の背景で犠牲になる動物たちの存在を知って。動物実験の廃止を求めて〜NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)
山本 めぐみ(JAMMIN):
JAMMINの企画・ライティングを担当。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたオリジナルのデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしています。2018年9月で、チャリティー累計額が2,500万円を突破しました!
【JAMMIN】
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