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このままじゃ負のスパイラル!?

<立教女学院短大>雇い止めに理由なし…元嘱託職員が勝訴

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このニュースを見て、最近の不況で起こっている非正規雇用労働者の問題や失業問題について色々と考えさせられた。

私も不況である以上、労働者保護というは社会的にも重要なことだとは思うし、住む家すらない人がいるというのは確かに問題であるし、早急に解決すべき問題だと思う。しかし、根本的なところを解決しないと、一事のカンフル剤にしなからなず、効果は持続しないだろう。それには、国民全体の意識改革が必要ではないかと思う。

と、話が大きくなってきたので、少しニュースに話を戻す。


立教女子短大のニュースを見る限り、これは行き過ぎではと思ってしまう。

もちろん、あくまでニュースの記事だけの情報なので、記事以外の情報を詳しく聞けば、この判決も良しとするかもしれないが、記事を見る限りでは、そう感じてしまった。

記事を抜粋してみた


『判決によると、女性は01年6月から3年間、派遣社員として短大総務課に勤務。04年からは1年契約の嘱託職員となり2度契約を更新したが、07年に新たな契約を結ばないと通告された。短大側は「女性の仕事は正規職員にさせるため、業務がなくなる」などと説明していた。松本裁判官は「女性の就業状況に問題はなく、雇い止めにしてまで正規職員に業務を担当させる必要はなかった」と判断。その上で「職員が担当する必要があるなら、女性の業務を変更させたり、正規職員になる意思があるかをあらかじめ確認すべきだった」と指摘した。』


これを見て、可笑しく思うのは私だけだろうか?

1年契約を2度更新したが、3度目は契約を結ばないと通告されたとある。契約は1年である。

なぜ、これが社会通念に反するのだろうか?

契約っていったい何のためにあるのだろうか?

裁判官の社会通念っていったいどんなものなのだろうか?


我々もこの不況で、客先の大手企業から契約を途中で切られるということが少なからず起こっている。

もちろん、我々も顧客企業へ多少の交渉はするが、ほとんどの場合契約は途中で打ち切られるのをのまざるを得ない。

ここで私たちようのような弱小企業が顧客を相手どって交渉を長引かせたり、違約金を請求したり、訴訟を起こしたとしよう、そんなことをすれば、足しげく何度も営業マンが通いやっと獲得した顧客を怒らせ、今後の取引がなくなる可能性が大きいわけだ。

そして、万が一裁判になり勝訴したとしても、他の顧客にもそういう噂が広がれば、当然会社にとってはマイナスになる。そんな企業とは付き合いたくないだろう。

つまり、よほどのことがない限り、このようなことは出来ないわけだ。もちろん、その企業にしかできない何かを持っている企業であれば別かもしれないので、ここは私どもの弱みでもあるので、反省すべき点かもしれない。

ただ大半の中層零細の請負企業はこのような状況だと思う。


それと、もう一つある。労働者の保護を強く社会が言っているが、今の労基法では、企業側からすれば、雇うは易しだが、解雇は難しである。

解雇とは穏やかな言葉ではないが、企業にマイナスを与えた従業員でも、犯罪や懲罰になるようなことをしない限り、解雇するのは正直難しいのが現状だ。

しかし国民には職業選択の自由があるので、正社員や非正規雇用者が自分から辞めたいときは、企業に負の資産を残そうが、自分から辞めていく人がいても止めることは難しい。場合よっては、その人はスキルアップして給与が上がった転職もできたりするわけである。これは退職する本人にとっては当然の権利だし、私もそれをとやかく言うつもりはない。

しかし、馬鹿高い採用費用を払ってやっと採用したにも関わらず、会社が元も取れ手ない状況であっても、いやどちらかというと会社側にとっては損失かもしれない状況でも、それを咎めることはできないわけだ。

そして、この損失のツケは残された他の従業員が補填することになるわけだ、これは本当に迷惑な話だ。


元々労働者を保護するためにある、労基法は日本の高度成長期の大規模な製造業の労働者向けのことを前提とした法律であるようにしか思えない。今の日本の中小企業やホワイトカラーが大半を占める企業には不適合な法律に思える部分があまりにも多すぎる。

ここにメスを入れないと多分、日本の経済はよくならないだろうと私は思う。


ちょっと、話はそれてしまったが、今回のような判決を見れば、企業経営者としては人を雇うのをさらに慎重にせざるを得なくなる。しかも、この不況の中であればなお更であろう、そして失業問題をさらに大きくさせ、もっと悪い状況に陥らせる可能性がある、つまり失業率アップの負のスパイラルに入ってしまう可能性があると私は思う。


幸いにも、わたしの会社ではまだ積極採用の姿勢を崩しておらず、毎月正社員の採用を行っているが、この記事を見ると、採用を今まで以上に慎重に行う必要性を感じさせられてしまう。

これでは、起業して会社を立ち上げて人を雇うようなしんどいことをするのは、馬鹿馬鹿しいと思う若者も益々増えるであろう。

実際、この数年私の会社に面接にくる若者のほとんどが、将来の夢を聞いてもはっきり答えられない人が多い。

そして、将来起業したいなどという人はほとんどいないし、元々は安定した公務員になりたかったという人も多い。

日本人は大きな夢を持つことを忘れてしまったのだろうか?
そうであるとすれば、悲しい限りである。


私は、声を大にして言いたい、実際の現場を知らない大学教授などの有識者と呼ばれる人や、解雇の心配のない官僚、そして政治家(や)と呼ばれる二世三世の世間知らずの議員、経団連に所属するレベルの人を人数でしか判断しない大企業の経営陣が、集まっていくら新法や政策を練ったところで、我々中小零細企業やそこで働く労働者の環境をよくする状況なんて作り出せるわけがない。

我々のような100名足らずの弱小企業の声ももっと聞いていただき、そこにも目を向けた、新法策定や政策実施を早急に行ってほしいものである。


そして最後に一つ、

経営者もリスクを取り、努力をする必要があるのは当然であるし、従業員やその家族そして顧客に対する責任を負うのは当然であるのと同様、労働者も守られるばかりでなく、一社会人として責任ある立場であり、決して一人で存在しているわけではなく、それぞれの人が様々な関係を持って支え合って社会が成立していること理解してほしい。そして、労働者、経営者、公務員も政治家も、すべての日本人が、自分の行動の一つ一つが、様々な人に影響を及ぼしているということを考えるようになれば、日本人の未来にも光明が見え、幸せに満ちた国になるような気がしてやまない。