「あんたのとこのお酒頂いたんだけど、どのくらいまでに飲んだら良い?」
「全く気がつかなかったのですが、冷蔵庫に1年くらいお酒が入りっぱなしだったんです。これって飲めますか?」
これはなかなか返答するのに難しい質問である。
特に最初の質問には困ってしまう。というのも、お酒が手元に届き、栓を開けて飲んだ時の味が好きで好きでこのままの味を楽しみたい!というのであれば、「とにかく早めに飲んで下さい」というのが正しい返答だ。一方で、「その期限はご自分で決めて下さい」という返答の仕方もある。
日本酒
は、酒蔵で瓶に詰められた後も刻々と進化している。進化=熟成である。きちんと冷暗所で保存された日本酒の香りは落ち着き、味は丸みを帯びていく傾向にある。
それは日本酒の中の成分同士が馴染んでくるからだ。

この変化はなかなか面白いものだ。その代表が、「ひやおろし」である。春先に搾った新酒が夏を越す。この間に香味は落ち着き、少し涼しくなってきたかなと感じる頃に瓶詰めされる。この「ひやおろし」の飲み頃は9月~11月頃なのだが、この間にも熟成が進むため味の変化を楽しむことができるし、この期間以降に味がますますのってくるお酒もある。
冒頭の2つ目の質問は、もちろん「YES」だ。どのように味が変化したのか、蔵側としても興味津々だ。是非そのお酒を送って下さい、と言いたいのをいつもグッと我慢していた。
日本酒の期限は?という答えは「ご自分で判断して下さい」という言葉で締めくくらせていただきたい。ただし、美味しく飲むためには、お酒の保存を「冷暗所」でお願いします



