それは、私が小学校四年生のときでした。陣地取り遊び(2グループに分かれ陣地の旗を先にとったほうが勝ち)で夢中になっていたとき、わが大将の六年生の悪がきが長屋の屋根に上がって隠れようといったので、シブシブ登ることに相成りました。昨日も登って大屋の頑固爺に怒られた
ばかりなのに又かと思いつつ、瓦屋根を走っていたら「こら
何回言ったらわかるんだ、すぐ降りて来い
」と大変な剣幕で今にも屋根に上がろうとしたので一斉に逃げ出したのです。私も屋根伝いに端の板塀から降りようとしたら手を滑らしてドスンと地面に落ちてしまいました。すると左腕のうち側がざっくりと手のひらほどが裂けていました。途中に五寸釘が出ていたのです。反対の手で傷口を押さえて、家に帰るとすぐに自転車の乗れないお袋が慌てて「今から医者に行くからね」と先に玄関をかかりつけの医者のほうへ走っていきました。私を置いて
病院に着いて中に入ったらお袋がベットの上で点滴を受けているところでした。本当の患者は僕です
大きな声で言いました。