『あれも書きたい これも書きたい』 ~「『便所掃除』の詩」の巻 ~ | 四季通信

四季通信

いろんなことを書き綴っていきます。

今日の『四季通信』は、
あれも書きたい これも書きたい
 ~「『便所掃除』の詩」の巻 ~ です。
 
 
今日の話題は、
不適切にもほどがある!』という
昭和から令和
タイムスリップしたTVを観ていて、
ふと
ぼくが
辿ってきた
昭和」という時代を
思い出した話です。
いろいろあるのですが、
今日の話は
今のJRが、
国鉄(国有鉄道)と言われていた時代の
国鉄のトイレの話です。
トイレというより
「便所」といった方がいいですね。
そのころの
一般家庭はもちろん
国鉄の便所も
まだまだ水洗便所は少なく
いわゆる「ぽっとん便所」でした。
たくさんの人が利用するわけですから、
大変汚い便所でした。
そういう便所を
毎日毎日掃除をして下さる
国鉄職員さんが
書かれた詩が下の詩です。
この詩は
いろんな映画や
テレビで
紹介されているので
ご存じの方も多いと思います。
ぼくも
国語の時間か
学級通信で知ったと思います。
読み始めは、
なんだこの詩は・・・」と
思っていたら、
最後には
なんかすがすがしい
気持ちになってきたんですね。
 
この詩を紹介したくて
ここに載せた次第です。
 
読んでみてください。
 
 
便 所 掃 除

 

        濱 口 國 雄  

 扉をあけます
 頭のしんまでくさくなります
 まともに見ることが出来ません
 神経までしびれる悲しいよごしかたです
 澄んだ夜明けの空気もくさくします
 掃除がいっぺんにいやになります
 むかつくようなババ糞がかけてあります

 どうして落着いてしてくれないのでしょう
 けつの穴でも曲がっているのでしょう
 それともよっぽどあわてたのでしょう
 おこったところで美しくなりません
 美しくするのが僕らの務めです
 美しい世の中も こんな処から出発するのでしょう

 くちびるを噛みしめ 戸のさんに足をかけます
 静かに水を流します
 ババ糞におそるおそる箒をあてます
 ポトン ポトン 便壺に落ちます
 ガス弾が 鼻の頭で破裂したほど 苦しい空気が発散します 
 落とすたびに糞がはね上がって弱ります

 かわいた糞はなかなかとれません
 たわしに砂をつけます
 手を突き入れて磨きます
 汚水が顔にかかります
 くちびるにもつきます
 そんな事にかまっていられません
 ゴリゴリ美しくするのが目的です
 その手でエロ文 ぬりつけた糞も落とします
 大きな性器も落とします

 朝風が壺から顔をなぜ上げます
 心も糞になれて来ます
 水を流します
 心に しみた臭みを流すほど 流します
 雑巾でふきます
 キンカクシのうらまで丁寧にふきます
 社会悪をふきとる思いで力いっぱいふきます

 もう一度水をかけます
 雑巾で仕上げをいたします
 クレゾール液をまきます
 白い乳液から新鮮な一瞬が流れます
 静かな うれしい気持ちですわってみます
 朝の光が便器に反射します
 クレゾール液が 糞壺の中から七色の光で照らします

 便所を美しくする娘は
 美しい子供をうむ といった母を思い出します
 僕は男です
 美しい妻に会えるかも知れません

 

 

ということで

今日は

このへんで。

また明日

お会いしましょう。