今回は電王戦の結果を踏まえて、将棋のスポーツ化について論じたいと思います。もとよりチェスは海外の新聞ではスポーツ欄に載っていますし、中国や韓国の新聞では囲碁をスポーツ欄に載せています。
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既に、チェスの世界ではチェスプレーヤーよりもソフトの方が強くなっている。その世界がどのような状況になっているのかについては、日本でも有名なチェスプレイヤーである小島慎也氏のブログに触れられている。
小島氏が指摘するように、いつかはチェス同様に将棋プログラムはプロ棋士を超えただろうし、超えなければならなかった。我々の生活の大部分がコンピュータの発達に支えられている。将棋プログラムの研究は人工知能研究の一環でしかない。谷川会長が電王戦後の記者会見で述べていたように、電王戦の成果はゆくゆくは医療や災害救助の場面でも役立てられることになる。
電王戦を通じてボンクラーズの局面判断にかなりの誤りがあったように、チェスのプログラムほどの信頼性は未だないので、完全に人間を超えたとは言い難い面もある。しかし、渡辺竜王が指摘するように、今まではコンピュータにとって困難とされていた新しい定跡の確立が行われたり、また中盤の凡庸とした局面での形勢判断が人間のそれを超えつつあることも確かである。現時点で課題とされている序盤についても、徐々に克服されることになるだろう。
以前、当ブログでも言及した通り、将棋の世界においても棋士同士の間で研究会が開かれていることは既に常識になっている。しかし、依然として将棋棋士は独立事業主のような存在である。
今後は、プロ棋士が単独で研究から対局までこなすような形から、チェスプレイヤーと同様にそれぞれにチームを編成して研究、対局、トレーニングを分担して行う時代が来ることになるだろう。プロ棋士の中にも、自ら対局するだけでなく、スポーツのようにプロ棋士向けにトレーニングを行うレッスンプロも出てくるかもしれない。
以前、渡辺竜王は著書の中でチェスの現状に触れながらも、棋士がトレーナーを付ける意味については疑問を呈していた。しかし、今後はプログラマーと共に定跡の開発や大局観の修正を行うプロ棋士が増えるだろう。すでに船江五段は電王戦で対局したツツカナのプログラマーの一丸氏との交流を始めていると聞く。プログラマーにとっても、アマチュアの棋力では判断できないレベルでの、ソフトが犯す間違いや欠点を指摘してくれるプロ棋士の存在は今後の技術開発に非常に貢献するはずだ。
さらに、プロ棋士をスポンサードする企業や研究機関も出てくるかもしれない。例えば、現在のプロ棋士とコンピュータ将棋の序列を掛け合わせて、羽生三冠(GPS東京大学)vs渡辺竜王(プエラα富士通)などというような棋戦もあり得るだろう。すでにサラリーマンからプロ棋士に転身した瀬川晶司五段をNECがスポンサードしているようなことがトップ棋士にも起こり得るのである。
このように見てみると、巨額なマネーが飛び交うスポーツ界と様相が似てくるのである。ビジネスの視点で俯瞰すると、将棋界の未来はむしろ明るくなったと言えないだろうか。
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