独資化のリスク | 中小企業診断士グループ“YTD”のブログ

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平成23年度中小企業診断士試験合格者4名で立ち上げた診断士グループ“YTD"のブログ。YTDとは、「やったるでー」の略。クライアントの「あなたらしさ」を大切した支援を致します。

しんしんです。

5月は新米診断士にとって非常に忙しい月です。各研究会が「初回参加無料」のキャンペーンを張っています。そこで、新米診断士は今後1年間、どの研究会で過ごすのかを決めるため、さまざまな研究会を一通り見て回ります。

月末となり、自分なりに所属してみたい研究会が固まりました。
今後は、研究会で学んだこと、活動したことについても触れていきたいと思います。

さて、今回は独資化についてお話をしたいと思います。

来料独資化に対する優遇政策の期限が2012年12月までとなっているため、既に多くの企業が独資化への手続きを終えています。

来料加工工場の独資化については、既に多くの記事が出回っています。しかし、その内容は税務や会計面に関する事項に偏っているため、当ブログでは労務面での影響に焦点を当てたいと思います

まずは、来料加工とは何かということについて、初めてお聞きになる方もおられるでしょうから、復習がてら解説します。

来料加工とは広東省を中心に中国華南地方で行われている委託加工の形態です。外国企業が中国で生産を行う際、中国国内に現地法人を置くのではなく、中国国内にある工場へ加工委託を行います。つまり、外国法人は現地法人を置くことなく、中国国内の工場を活用できるという制度です。

地元の公営企業が工場を所有する一方で、実質的な運営は外国企業が行う形態を来料加工と呼びます。

まず、外国企業は香港に現地法人を設立します。
香港の現地法人は来料加工工場に対し、原材料を無税かつ無償で送ります。そして、来料加工工場は香港の現地法人に対し、組み立てた製品を無税かつ無償で送ります。
そして、香港の現地法人は来料加工工場に対して、加工賃を支払います。

外国企業は中国工場の運営に関わることができ、課税対象も加工費のみに限定されます。また、中国政府も外資を誘致することで雇用を確保することができました。

しかし、近年では中国の工場は、人件費の高騰から労働集約型の構造から自動化へと変化しています。加えて、労働人口が第2次産業から第3次産業へ移りつつあるため、「ともかく雇用を増やす」ことを目的とした来料加工のメリットが中国側に無くなりつつあります。

一方、外国企業にとってもメリットよりはデメリットが目立つようになりました。上述の通り来料加工工場で生産したものは中国国外へ輸出することが前提になっています。中国経済が成長し、中国国内市場へ販売展開することになると、「一旦香港を経由する」ことが前提の来料加工は不便なものになりました。

そこで、2006年ごろから来料加工工場から工場の現地法人化、つまり独資化が進みます。

独資化が進めば、工場の運営に対し出資した外国企業に求められる責任がより大きくなります。
「復習」が長くなりすぎましたので、その責任に伴う労務面でのリスクについては次回解説します。

参考URL
http://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/52/05/hajimeni.htm
http://www.tjcc.cn/jp/PolicyView.asp?id=75


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