『ゴーストライター』~コンサルタントの抱えるジレンマ | 中小企業診断士グループ“YTD”のブログ

中小企業診断士グループ“YTD”のブログ

~あなたらしさをプロデュース~
平成23年度中小企業診断士試験合格者4名で立ち上げた診断士グループ“YTD"のブログ。YTDとは、「やったるでー」の略。クライアントの「あなたらしさ」を大切した支援を致します。

中小企業診断士ユニット“やったるでー48”

元英国首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を依頼されたゴーストライター(ユアン・マクレガー)。ラングが滞在する真冬のアメリカ東海岸にある孤島に赴き、取材をしながら原稿を書き進めるうちに、ラング自身の過去に違和感を覚えるようになる。
やがてそれは前任者の不可解な死に対する疑問となり、その謎を追いかけることで国家を揺るがす恐ろしい秘密に触れてしまう。そして、さらにラングの妻ルース(オリヴィア・ウィリアムズ)と専属秘書アメリア・ブライ(キム・キャトラル)とともに巨大な渦にはまってゆくのだった・・・。
公式HPより


ゆんたくです。

この作品は「戦場のピアニスト」で知られるロマン・ポランスキー監督が描く本格サスペンス映画で、第60回ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀監督賞)を受賞している。

英国首相の自伝の代筆を任された主人公は文字通り“ゴースト”のような存在として映画の中では名前すら明かされていないが、自分の腕への自信と熱い想いを胸に秘めながら仕事に臨むプロである。とりわけクライアントとの対話を深めながらテーマを掘り下げていく様はコンサルタントそのものだ。

しかし自分の職業倫理に忠実になるあまり、仕事の過程で気が付いてしまった“不都合な真実”を見過ごすことができない。言われたままに自伝を書きさえすれば25万ドルを手に入れられるところを「嘘を書くことはできない」と突っぱねてしまい、結果として自らを危機に陥れてしまうことになる。

これはコンサルタントという職業が常に直面する可能性のあるリスクだろう。
クライアントにパートナーとして信頼されようと思えば、ある程度その内面に踏み込んでいかなければならない。しかし踏み込みすぎるとグレーやダークな面を共有してしまうことになる。
そして、いったん“不都合な真実”に気づいてしまい、それを口にしたが最後、クライアントへの忠誠と社会的ルール(コンプライアンス等)との板挟みに会ってしまう。結局クライアントを切るか、一緒にリスクを背負うかの二者択一を迫られることになり、幸せな結果にはならない可能性が高い。

優秀なコンサルタントとはクライアントとの距離感をうまく保てる、または状況によって使い分けることができる人なのだろう。


【診断士的学び】
コンサルタントとしてクライアントに踏み込む事は重要。しかし、そのリスクを自覚して対処することはそれ以上に重要である。

※プロフェッショナルのあり方については下記の本に詳しく書いてありますのでご参考ください。
プロフェッショナル原論 (ちくま新書)/波頭 亮

¥714
Amazon.co.jp

ブログランキング参加中。参考になったと思いましたらポチッとお願いいたします。
にほんブログ村 士業ブログ 中小企業診断士へ
にほんブログ村