第12話 調停の手順と家主への対応 | 家賃減額の決定版

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家賃額の改定を求める調停の申し入れというのは、それなりによくあることらしく、裁判所に定型の用紙があったり、ネットでダウンロードできたりもします。住所地を管轄する簡易裁判所に、用紙はあるのか、申し入れに持っていくのに何が必要か、事前に電話をかけて聞いておきましょう。


この、管轄を判断する「住所地」というのは、「相手方住所地または不動産所在地」ということだそうです。この二つの住所地が違う管轄になる場合は、どちらに申し立てるのかは、どちらかの、または両方の簡易裁判所に問い合わせて尋ねればいいでしょう。


必要書類は、私の場合、賃貸借契約書と借家の登記簿(法務局の出張所に取りに行きます。誰でも取れます)、家主が企業だったので法人の登記簿が必要でした。これらは、ネットで注文して郵送されるものでは無効になる可能性があるので、窓口で取るべきだそうです。


東京の簡易裁判所の場合は、問い合わせて自分の状況を話せば、必要書類でもその他持っていくものでも、どんなバカにでもわかるように丁寧に教えてくれます。小学生に遠足の案内をするような感じに教えてもらえると思っていいでしょう。


他の地方で、フザケた対応をされた場合は、このHPに東京の丁寧な対応が書いてあること、国民には平等な権利があるはずだということを主張すべきだと思います。


あなたが家主のお情けで借家に住ませてもらっているのではないのと同様に、簡易裁判所の事務員のお情けで調停させてもらえるわけではないのです。借家に対しても裁判所に対しても、あなたには権利があり、彼らは、あなたの申し立てに対応する義務があるのです。


東京の場合、簡易裁判所に申し立てに行くのに予約はいりません。電話で事情を説明し、管轄と必要書類と持っていくものを確認した後ならいつでも、営業時間内(昼休みと終業時刻の直前は避ける。どのくらい前に行くべきかは時期による混み具合もあるので、電話で聞いておく)に行けば、係りの人があなたの話を聞きながら書類の記入を手伝ってくれます。指導されながら必要なことを書き入れ、言われた金額の印紙と切手を買って、できあがった書類と出せば、この日の仕事は終わりです。


私の場合には、昼休みや終業の30分以上前に着くべきだと言われましたが、実際に行ってみると、ブースはいくつかあるのに他には一組の客がいるだけで、すぐに相手をしてもらえて、書類の記入に10分もかかりませんでした。


私がネットで調べたときには、書類を出した数日後に調停の日時を書いた書類が届くということでしたが、東京の場合は、まず電話がかかって来て、いくつかの候補の中から、あなたの都合のいい日を聞いてくれます。その際、あちらからの電話で連絡がつかないと「電話ください」という手紙が来ます。留守電に「裁判所ですが」と吹き込む、ということはせず、「電話を取らなければ手紙」です。なので、書類には連絡のつきやすい電話番号を書いておいた方がいいでしょう。


電話で日時が決定すると、あなたと家主双方に調停の呼び出しの手紙が届きます。当日、その時間に出頭しましょう。


家主の側から、「なんで調停なんかに行かなきゃならないんだ」「家賃は下げないから無駄だよ」と言ってきたときには、「家主さんが家賃を下げたくないと言うし、私は下げて欲しいので、こういう時には、法律で、調停ということをすることになっているんですよ」のように、「悪気はないし、家主さんの気持ちもわかるから、双方にとってベストなことをしているのだ」ということを強調しておきましょう。「法律でこうすることに決まっているんです」とも言っておきましょう。


「消防署の方から来ました」と言う消火器販売業者が嘘ではないように、「法律でこうすることに決まっている」というのも別に嘘ではありません。


調停を申し立てるのは、自分が割高な家賃を払いたくないからってだけで、そうすべきだと法律で決まっているわけでもなんでもないのですが、「第三者に判断してもらってスッキリしたい」みたいに婉曲に言っておきましょう。法律で決まっているのは、「家賃減額を法的に認めさせる手順」であって、「家賃が高いときには、その手順を遂行すべきだ」というわけじゃないのは誰でもわかっていることです。こういう論法は、詐欺商法と不動産業者がひんぱんに使うもので、その目的は相手とまともに話をしないためですが、その技術を一般人が使って悪いと言うこともありません。人間、相手が自分の要求を呑むわけでもないのに、グズグズ文句を言うことで自分に負担をかけようとしてきたら、煙に巻いておくのが一番です。


世の中には「裁判所」という場所を、「やたらと怖そうな場所」だと思っている人が多いものです。私もそうでした。一度通ってみると、なんでもないところなのですが、行ったことのない人にはわかりません。「そんなとこには絶対に行きたくない」「なんで、そんなとこに行かなきゃならないんだ」と鬱々とした気持ちになる家主もいるでしょう。


調停に出たくない、裁判所に行きたくない。自分の家賃が割高になっているという、あなたの言い分がもっともなことも、収入が減るのがイヤだから認めないだけで本当のところはわかっている。


というわけで、ここで家主があなたの家賃の減額を認めてくれる可能性は低くはありません。納得のいく額になった人は、ここでゲームオーバーです。


そうはいかなかった人は次に進みましょう。