(登場人物)
A:難病(心臓が小さくなっていく病気)で、医者に後2年の命と宣告される。Bのことが好き。
A:難病(心臓が小さくなっていく病気)で、医者に後2年の命と宣告される。Bのことが好き。
B:Aの想い人
(ストーリー)
Aは医者に余命2年と宣告される。宣告を受けた彼の心はそれでも穏やかだった。
脈拍も乱れることはなく、彼はただ自分がいなくなってしまうことを、医者に言われる前から
気付いていたのだ。
Aの両親はすでに亡くなっている。
Aが8歳の時、母親を亡くした。今のAと同じ病だった。
Aは母親と二度と会うことできないことをただ悲しんだ。大泣きし、何日も何日も涙を流した。
それでも、まだ父親を支えとすることで8歳の彼の心はバランスを保てていた。
Aが12歳の時、父親を亡くした。過労死だった。
Aの心はバランスを失い、ぽっかりと穴があいてしまったそんな状態だった。
12歳の彼は、もう泣くことは無かった。心の支えを失って、どうしたらいいのか、わからなかったのだ。
Aはその後、施設で育った。
Aは20歳を迎えた時、母親と同じ病であることを医者に宣告された。
Aは自分の病気のことを周りには隠しながら生活をした。
病気だと悟られないように、明るく社交的に周りに接した。
Aは周りに好かれ、慕われ、頼られる。そんな人だった。
周りの目とは裏腹に、Aの病は悪化し、胸の痛みが少しずつ強くなる。
痛みで眠れない夜も日に日に増えていった。
それでも、Aは肉体的には無理をしていたが、精神的には無理をしているわけでは無かった。
人と話をするのは好きだったのだ。病気を隠すためでなくても、Aは明るく人と接するのが心地よかったのだ。
それに何より、自分の命が短いと知ってからは「何のために僕は生きるのか?」
その問がAの頭から離れず、その問の答えを探すことがAにとっての生きる支えになっていた。
そしてある日、AはBという人に恋をする。
Aは悩んだ。想いをBに伝えるべきか、否か。
「Bは自分を受入れてくれるだろうか?もしも付き合うことができたとして、
僕は自分の病気をBに伝えられるだろうか?」
Aはさらに深く自分の心について思考した。
「僕はBに好かれなければ、Bのことを好きでいられなくなるのだろうか?」
「僕が病気でなかったなら、告白することに悩まずすんだのだろうか?」
「僕がBに抱いている感情は、僕が何をするためのものなのだろうか?」
そしてAは答えを出した。
「Bが僕のことを好きになろうと、嫌いになろうと、僕のこの想いとは関係無い。
僕はBを好きでいたい。ただ好きでいたいのだ。」
「僕が明日死ぬとしても、100年後に死ぬとしても、たいした違いでは無い。
いつだって僕には過去も未来もなく、今しかないのだから。今だけが自分にあるのだから。」
「僕のBに対する感情は、きっと、ただBの笑顔が観たいだけなんだ。Bが喜んでくれれば他に何もいらない。」
AはBに告白することを決意した。
今が無くなってしまう前に。
続きはあなたの心の中で。