拉致問題に関するワシントン訪問報告 | 谷田川はじめオフィシャルブログ Powered by Ameba

拉致問題に関するワシントン訪問報告

北朝鮮による日本人拉致事件の「家族会」「救う会」「拉致議連」の合同によるワシントン訪問団は、7月11日(月)から3日間、米国政府高官や連邦議会議員等、合計14件の面談をこなし、拉致問題解決に向けての協力を要請した。詳しい日程は別紙の通り。

「拉致議連」の代表として参加した国会議員は以下の通り

団長 たちあがれ日本代表 平沼赳夫衆院議員

民主党からは、松原仁衆院議員、向山好一衆院議員、谷田川元衆院議員

自民党からは、山谷えりこ参院議員、竹本直一衆院議員、塚田一郎参院議員

そして、今回の訪問では、拉致問題担当の東祥三内閣府副大臣にも政府を代表する形でご同行頂き、訪問団の重みが増した。

また、「家族会」からは、飯塚代表と増元事務局長が、さらに「救う会」から島田福井県立大学教授が参加した

訪問団の主な主張は次の2点である。

1)米国政府は人道的観点から、近い将来、北朝鮮への食料援助を検討しているようであるが、過去の例からして、食料は困っている人民に届かず、軍隊等に横流しされ、金正日体制を強化するだけである。したがって、食料援助は止めてもらいたい。


2)日本人拉致事件は、北朝鮮による国家テロ行為である。残念ながら、ブッシュ政権の末期にテロ支援国家の指定が解除になってしまったが、5人を除いて未だに拉致被害者が北朝鮮内に留め置かれているという事実は、国家テロ行為が現在も進行していると解釈できる。したがって、北朝鮮をテロ支援国家に再指定してもらいたい。

これに対して、シャボット、ロスレイティネン、ローラバッカーの3名の共和党下院議員からは、全く同意見であるとの賛意が表明された。特にロスレイティネン下院議員は、下院の外交委員長でもあり、日本人の拉致問題が解決しない限り、米国と北朝鮮との国交正常化を認めないとする法案を今議会に提出(審議はまだ行われていない)するなど、拉致問題を解決するには、北朝鮮への強い圧力が必要との考えで一貫している。わが拉致議連にとっては、とても頼もしい存在である。それ故、今年12月の人権週間に合わせての訪日を招待したい旨、平沼団長が申し入れた。ローラーバッカー議員も、訪日の予定があるとのことなので、日程が確定したら、連絡して欲しい旨要請した。両議員が、来日した折には、政府与党幹部との面談をお願いしたい。

一方、バーンズ次期国務副長官、キャンベル国務次官補、キング北朝鮮人権特使といった国務省高官との意見交換では、「米国政府は、日本人拉致問題に重大な関心を寄せている。」「北朝鮮との様々な問題は、日本と密接に連携していくことが重要」と異口同音に言ってはくれたが、訪問団の主張に対して賛意は示されなかった。はからずも、キング特使との会談で、国務省が食料支援を前提とする詳細な検討がなされていることが明らかになった。まず、キング特使は、「食料支援を行うかどうかはまだ決定していない。最後は、高度な政治判断である」と述べつつも、「今回の食料支援では、米を送ることは考えていない。米は流用されやすいからだ。子ども、妊産婦、一人暮らしの老人といった本当に飢餓に苦しんでいる人に届く援助にしたい」と語った。これに対して、松原議員が、「過去に置いて、外国のテレビカメラマンがいるところでは、子どもたちに食料を配って喜ばせておきながら、彼らが去った後、それを回収してしまうという卑劣な行動をしている。北朝鮮は全く信用できない。」と言うと、「過去にそういう事実があったことは、承知している。食料支援を検討するための担当者を北朝鮮に行かせ、実務者協議を行なっているが、その大半は、いかにモニターリングするかの議論になっている。例えば、子どもの腕の太さを計測するといった方法を検討している」とキング特使は答えている。これを聞いて、食料援助がなされる可能性が高いと思わざるを得なかった。


また、今回の訪問では、上院仮議長を務めるイノウエ上院歳出委員長との会談で、特筆すべき内容が明らかにされた。イノウエ議員は次のように語った。「私が、上院情報特別委員長だった30年以上前に、同委員会として北朝鮮を訪問し、日本人拉致問題を提起し、詰問したが、 北朝鮮は犯行を否定した。日本政府も知っていたと思うが、追及する関心がないようなので外交儀礼上、そのままにした。」そして、「拉致問題を解決するための日本の議員団との会談は初めてだが、今回の訪問は公式なのか非公式なのかと?」の質問がなされた。それに対して、「拉致問題は超党派の取り組みであり、問題解決に向けた衆参両院の決議案が全会一致で可決されている。そして、今回の訪問には、 政府 を代表する形で、東副大臣も参加しているので、公式訪問である」と述べると、イノウエ議員は「同僚議員に話をし、解決に努力したい」と語ってくれた。