2024年9月14日(土)   18:00〜

NHKホール

 

ブルックナー生誕200年

ブルックナー

交響曲 第8番  ハ短調  (初稿  /  1887年)

 

指揮            ファビオ・ルイージ

コンサート マスター    郷古    廉

 

この暑い夏が終わって(正確にはまだ夏の陽気ですが……) 6月以来のNHKホールです。

 

生誕200年ということでブルックナーがあちこちで演奏され、その話題をブログでも読ませていただいています。

 

この長いあいだNHK交響楽団の定期会員として、定期公演に通っておりますので、ブルックナーの交響曲を何度か聴く機会を持っていますし、この長さも嫌いではないのですが、本当に交響曲第◯番と言って頭に  さあっとメロディーが浮かぶことがないのです。

その番号とメロディーが一致しないのです。

うん、これは好きだなあ とか、これはちょっと冗漫だなあ とか の印象は持っているのですが、それを頭の中にきちんと整理しておいて置けないのです。

自然に頭から記憶が落ちていくのですが、もう一度聴くと、これは記憶にある曲でこれからこう展開して行くんだということが蘇ってくるのです。

頭の容量が少ないのでしょうか、いろんな知識が整理されずに入っているからでしょうか。

反面、割合いつも新鮮な気持ちで聴くことができるのです。

昨夜は、あまり演奏されない、このブルックナーの初稿版の演奏ということで、聴く前からこの曲に詳しい方々がお話しされているのを読んでおりましたので、「へえーそうなんだ」という興味はありました。

しかし他の版の演奏を聴いてから演奏会にいくわけでもなく、今回のこの演奏、N響と、ファビオ・ルイージの指揮がこのブルックナーに正面からどうやって取り組む演奏をするか、久しぶりの定期演奏会をじっくり聴かせていただきたいと思っていました。

私の興味は主に声楽に関係するものに向き、オーケストラの曲は嫌いではないのですが、しっかりと頭に刻み込もうという意思があまりないように思うのです。

まず「ブルックナー」という名前を聞くと思い出すのは、遠くの道からその建物を見た、ザンクト・フローリアンの教会の情景なのです。

バスの中から、遠くに見える横に長い建物を指してあれがザンクト・フローリアンですよと教えてくれたのですが。

その時まではそこでブルックナーがオルガンを弾いていたとか、そのパイプオルガンの下に、ブルックナーのお墓があるのだということは知りませんでした。

しかし、その遠景にいたく心惹かれたことは確かです。

 

そのブルックナーが作曲した交響曲の数々。

 

うーん、最初のヴィオラやチェロが奏でる低音に、今回は心が持っていかれました。

今の自分の気持ちにぴったりくるなあ……

 

ファビオさんって考えているよりも小柄な方なのです。郷古廉さんより、背が低く、おまけに顔が小さい……といつも思うのですが、曲を聴いているうちに、彼が大きく見えるから不思議です。指揮棒を持たず、手の平をかっと開いて、身体を斜めからフォルテ体勢に持っていく時などは、本当にその迫力はすごいと思います。

この方を初めて見たのは、MET.のオペラ・ビューイングでです。

、「レヴァインの後はこの方じゃないのかな」などと勝手に思っておりましたので、そちらには就任はできずに、2022年9月にこちらのNHK交響楽団の首席指揮者に就任されたのです。

 

うーん緻密な分析力の方のように思うので、昨日はこの長丁場をドキドキしながら聴いておりました。

 

溢れるような音の洪水の中で、ワグナーの曲に似たフレーズが出てきましても、ワグナーはその後に歌う部分が生まれてきますので、そう言った要素が想像されるのですが、このブルックナー

はそのままオーケストラの音の要素で滔々と流れていくのです。

うーんこれがブルックナーだ………

 

この8番のチェリビダッケの指揮のCDが家にあるそうで、知らず知らずのうちにその演奏が頭に刷り込まれているのかもしれません。

珍しく、ほぼ満員のNHKホール。この大音響が終わった時、ちょっと余韻のようなものがまだ残っている時に拍手をされた方、このNHKホールで余韻が残るのは大変なことなのだということを考えてくださいませ。その音が自然に消えていく様子をちゃんと聴きたかったです。

残念!

拍手なんて遅くたって良いんですから………