二期会ニューウエーブ・オペラ劇場 

ニューウエーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ

指揮   鈴木秀美       演出  中村蓉

 

めぐろパーシモンホール 大ホール

2024年  5月25日 (土)  17:00

 

パーシモンホールには雨の日には出かけたくありませんでした。

《魔笛》以来です。

あれから傘立ては備え付けになったでしょうか?

オペラの内容はあまり覚えていないのです。

それに何より、傘が椅子の隙間に刺されていたことがまだ目に浮かぶのです。

 

歌手の方はよく歌われ、ダンサーの方と一緒によく踊っていらっしゃったと思います。

さすが若い方は覚えが早いのですね。

結構複雑な動きもされていたように思いました。

ニューウェーブなのですね。

ダブルキャストで、本日も公演に参加される方がいらっしゃると思います。

舞台も大きな積み木のような形のブロックを出したり引っ込めたりして話が展開されるのです。

2階建て構造の舞台はそのままなのです。

バロック時代のオペラは、セミ舞台形式も含めてこういった形の上演が近頃多いように思います。

よく考えられているとは思うのですが、なんとなく「どこかで見たなあ」という既視感があって、こうなるんだろうなという予測がたってしまうように思うのです。

つまり、「驚き」のようなものがあまりないのです。

全体的にあまり変化なく、同じ洋服を着たダンサーの方が、頭にツノをつければ、狩の時の「鹿」に。キラキラの上着のようなものをつければ(鎧)、兵士に。

昔のスカートの下につけるパニエのようなものがスカートで、女性に化けているアキッレという形になるのです。

何しろ、デイダミーア役はソプラノ、ネレーア役もソプラノ、アキッレ役もソプラノ、ウリッセ役はメゾソプラノ、フェニーチェ役がバリトン、リコメーデ役がバスという、女声が大勢を占めていて、声でのキャラクターの差が耳からあまり捉えにくいので、あれだけ大変なコロラトゥーラの歌を歌っていても、耳からだけではその役のキャラクターが捉えにくいのです。

つまり、目からも耳からもどちらかといえば、変化がわかりにくい気持ちがいたしました。

 

どなたかが、帰り道でお話ししていらっしゃいましたが、「歌手の方があれだけダンスをするのは大変だわよね」と。

私もそう思うのですが、あれだけ動いてお芝居も歌も立派にこなされているのに、なぜ新しい驚きがないのだろう………

 

もしかすると受け取る私の方が疲れていて、それだけのものを受け取る力がなかったのでしょうか。

 

実はアキッレ→アキレス?が活躍する「トロイ」という映画を思い出しておりました。

ブラッド・ピットが演じたアキレスはびっくりするほど強く、そしてその死は突然でした。

そういうトロイ戦争の壮大な場面が浮かんでくるので、どうも積み木の世界がしっくり自分の中に入ってこないのかなとは思いました。

合唱の方たちを、オーケストラピットで歌わせたり、最後はステージの両脇の座席で歌わせたりいろいろな変化を持たせてはいたのですが、なかなかなんの効果を狙ったものなのかよくわかりませんでした。

いろんなところから声が響く変化を求めたのでしょうか?

歌手の方々の熱演ぶりは感じられたのですが、なんだか話の内容が中途半端な感じは否めないのです。

リコメーデ王は車椅子で登場して、そういう形での演技の後になぜか歩いているという姿にも違和感がありました。

あの車椅子はどういう意味だったのでしょうか………