このホールでのコンサートシリーズに通うようになってから、私は初めて経験する声楽のプログラムです。

2024春のシリーズの2回目です。

 

シーズンのコンサート予定を拝見した時、とても嬉しかったことを覚えています。

 

なぜか歌のプログラムだけが今まで私が会員になってからですが一度もないので少々寂しかったのです。

 

今回はウィーン・フォルクスオーパーやリンツ歌劇場でも歌っているという経歴の方でした。

2014年の新国立劇場にも招聘されて、《こうもり》のオルロフスキー役を歌ったそうです。この時代の《こうもり》は聴いていなかったように思うので、きっとお聴きするのは初めてのように思います。

メゾソプラノといっても、声の響きの位置を落として太い声の感じで歌われる方がいますが、必要以上に押したりする声ではなかったのでスッキリとした印象で好感が持てました。

しかし前半のリートは、リストの曲ではあまり存じあげなかったこともありますが、声の色や内容による変化がもっと強調されると良いように思いましたが………

シューベルトもテーマは「死」ということだったようで、あの有名な子守歌も、子供を寝かしつける歌ではなく、死んだものが墓の中でゆっくり眠ることができるようにという意味があるのだという解説は興味深かったです。伴奏者であるオルトナーさんの解説にありました。

ドヴォルジャークは、チェコ語ではなくドイツ語で歌われておりました。

 

伴奏のみどり・オルトナーさんはリートを学ぶためにウィーンに留学された方のようです。

そこで著名な歌曲伴奏者のロマン・オルトナー教授と出会い、その勧めによってウィーン国立大学のピアノ科に入学して、どうも歌から歌曲伴奏のピアニストに変わったようです。

プロフィールには書いてありませんが、おやおや、オルトナー ?

この方はお名前がオルトナーさんなのですから、ウィーンで学んでお名前が変わったのかな?

などと思いました。

 

近頃、春祭あたりから、リートのコンサートを聴く機会が多く、伴奏と歌の関係ということに興味はありました。

 

伴奏者の方が、プレトークということで、曲の説明をなさいましたが、短い時間でたくさんお話しされようとするのです。曲数が多いので、結局どんな歌なのかの概要があまり良くわかりませんでした。

お隣に座っていらっしゃった、ご夫婦が歌詞を印刷してほしいなあと盛んにいっていらっしゃいました。もちろん訳詞を添えて。

前半のリスト、シューベルト、ドヴォルジャークの歌曲、合わせて14曲は結構ボリュームがありましたので、簡単なお話だけではちょっと戸惑ってしまったように思います。

 

2部の、オルロフスキー、ケルビーノ、オクタヴィアン、カルメンが歌う曲は歌詞が少々わからなくても、曲だけでも面白いですし、最後に演奏したウィーンの小唄は、その雰囲気だけでも楽しめる所があるのとは少し違っているように思います。

 

(以前、ビヤレストランでのコンサートでご一緒した方は、このウィーンの小唄がお得意の方で、僕は日本でこういう歌を歌わせたら1番上手だと思うよ……とお話になり、「あなたも自分はこれだったら誰にも泣けないというものを早く作っておくと良いですよ」と言われたことがありましたっけ………)

 

このマヌエラさんは、ズボン役もお似合いになりそうですし、オペラ中でお聴きしたいなあと思いました。オペラのアリアになりましたら声の伸びというか歌の表情がガラッと変わったように感じましたし………

 

全ての曲に伴奏者が一生懸命にお弾きになる形だったので、ちょっと全ての曲の表情が同じに聴こえてしまったことが少し残念に思いましたが、楽しい雰囲気のコンサートでした。