つまり1日が音楽漬けという1日だったのですが、なかなか楽しいものでした。

まずは 大先生レッスン。その次に文化会館の資料室でハイドンの《天地創造》を聴き、その後レネケ・ルイテンのリートコンサートにまいりました。

 

まずは大先生のレッスン。今回はなかなか内容が充実しておりました。

ハイドンの歌曲をまず聴いていただいて、時間があったらマーラーの歌曲を聴いていただくということにして、今回は3曲持って行きました。

優先権はハイドンでしたが………

高音部の出し方、頭声の通り道と、喉を詰めない息の送り方を今回見つけた方法で歌ってみました。さりげなく使ってみました。もしダメな方向でしたら、大先生からそう言ったお言葉が飛んでくると思いますので。

別にお褒めの言葉はありませんでしたが、否定する言葉も出てきませんでした。

つまり、方向としては正しいのだなあと思いました。

否定する方向ですと即座に歌うことを止められてしまいますから………

 

なんのご注意もなく、この曲をどうやって歌うかということに集中していただけたのですから、それが自然であるがごとくに普通にレッスンが進んだのです。

やっと普通にレッスンの形でレッスンしていただくことができたわけです。

まあ近頃は、今まで散々言われてきた、「喉に捕まっている」「声にカビ、サビが生えているとか、ホコリがついているよ」などの言葉は無くなりました。

(しかしまだまだということは、自分が1番良く分かっているのです。)

 

今回のレッスンでは、前回よりももっと工夫の材料がどっさりありました。

努力して行ったことがそのまま前向きに認められるのは嬉しいことです。

その結果として、大先生の持っている経験と知識から教えていただけるのですからこれに勝る喜びはありません。

先日ハイドンの曲のプログラム原稿を書いていて、彼がスコットランド、ウェールズの歌を研究していたので、この〈6つのカンツォネッタ〉が英語の歌詞に付けられたのも、特別な思い入れがあったのでは無いかという記述にぶつかりました。

ふーん、そうなんだ………と思っていましたら、大先生から R の音をウエールズ風にもっと巻いて発音してみてごらんというご指摘があったのです。

確か、友人のウェールズの方が教えてくれたウェールズ語も、なんだか英語よりもドイツ語に近いように感じた発音でした。

その R の発音の仕方、歌う時に入れるリズムの感覚などを練習しました。

こういう風に歌うとウエーリッシュだよね、ブリン・ターフェル  みたいに……

 

大先生が一番最初にこの曲を聴いた時、「長くて、退屈だ」とおっしゃいましたが、それをどういう風に歌ったら、面白いと感じる演奏になるかを考えてくださったわけです。

先週もフレーズの最後に短い飾りをつける方法を教えていただけましたが、今回それが少しグレードアップした形になりました。つまりそうやっても歌えるであろうと考えてくださったのだと思うのです。

私が作ったカデンツァの歌い方に関しても、「モーツァルトのコンサートアリアなどとはこの曲の持っているものは違っているのだから、同じような歌い方をしてはこの曲らしく無いよ」

ということで、具体的にその違いが明確になるように教えてくださいました。こういった経験から来たお言葉が、貴重です。

音楽的な教養として、ハイドンと英国との関係も分かっていらっしゃったのですね。

英語の読み方などはアメリンクのCDを参考にしましたので、やはり彼女の歌が気持ちの上ではお手本のようになっておりました。

そこから脱却してオリジナルのものを作り上げていく力は私にはありませんでした。

やはり、大先生のお力はオリジナルのものを生み出していくことができるのですね……

当たり前だといえば当たり前のことですが。

こういう内容の充実したレッスンになるかならないかは、受け取る側がそれを受け止められる状態であるかないかが鍵なのですね………

この後の経験の後にリートコンサートを聴きましたので、ちょっと聴き方が変わっていたようにも思いますが、その感想は次回へ………