この時期の上野はものすごい人出でした。

まだ桜は咲いていなかったのですが、春休み中最後の土日といったら良いのでしょうか。まあ来週の土日までギリギリ春休みのところが多いのでしょうか………

早めに着いたので桜通りというお花見に歩く通りを見に行きましたが、見えるのは人ばかり、早咲きのものが咲いているようでしたが。

もうあまりの人にうんざりでした。桜通りの入り口までたどり着くまでがまたいへん。

そういえば、いつもこの春祭に来るとお花見も一緒に楽しむことができるのですが。

 

2024年  3月30日 土曜日     東京文化会館  15:00〜

楽劇《トリスタンとイゾルデ》 演奏会形式/字幕付

ヤノフスキさんの指揮  N響の演奏でした。

 

この時期に新国立劇場の演目と、東京春祭のワーグナー・シリーズの演目が重なるという偶然?あるいは意識的にそうされたのかがわかりませんが、これはワーグナーファンでなくとも心踊る出来事ですが、私はかなり迷ったのです。

新国立劇場の上演の日の中で、聴きに行くことが可能な日が2日あり、かなり遅くなってから電話で席をとったのです。その2日のうちの1日が最終日の3月29日。そして昨年の売り出し日に購入していたのが3月30日のチケットだったわけです。

意識的にそうしたわけではありませんが、これは得がたい経験でした。

 

昨年チケットを求めたときから何ヶ月も経っておりますので、昨日の座席が2Lであったことを忘れていました。まあ4列目なのでそちらでは一番後ろの座席になるのですが。

 

うーん、結論から言うと2日続けて鑑賞することができて良かった。

もちろん比べて聴くと言うこともありますが、演奏を聴く楽しみが✖️2になったように感じました。

演奏内容に関しては他の方のブログで、感想を読ませていただきましたが、皆さんそれぞれ同じ演目を重なって鑑賞することを楽しんでいらっしゃるようでした。

 

昨日はちょうど金管楽器の音がこちらを向いているので、まず音色の聴こえ方の違うことが1番でしたでしょうか。座席のせいもあるのでしょうが。あの濃厚なワグナーの音たちに包まれる幸せ感がありました。

一昨日はオーケストラピットに入って演奏される形でしたし、座席が4階でしたので、音に包まれ感はちょっと薄めだったのです。

昨日はオーケストラがステージに乗っていて、もちろん歌手の違いも感じましたが、オーケストラが前面に出て主導権を握っているというそんな違いが1番心に残ったように思うのです。

ヤノフスキさんの何かきっぱりとした明確な音楽づくりの指揮も拝見することができますし、するっと出てくる曲の流れが、意外に切々と心を打つものだったり、ドラマティックな展開だったりするのだということが、今回かなり印象に残ったことです。

こういうことを書こうと思うと本当に、自分が分析的に物事が書けないことがよくわかります。本当に直感的、感覚的にしか自分の中で受け取れていないのだということがわかります。

 

もちろん2日間を振り返って、歌手の方の違いもかなり感じたのですが、このワグナーが作り上げたマジックのような音に包まれる幸福感が1番だったようにも思うのです。

 

歌手の方の声質ということも心に残りました。

これも自分の持っているイメージかもしれないのですが、昨日のマルケ王(フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ) の声を聴いた時に、この方は「マルケ王だ」とビッと感じてしまったのです。

ブランゲーネがこんなに印象に残る役どころだったのだと認識した、一昨日の藤村さん。

昨日のトリスタンのスケルトンさんは、ワーグナーのイメージだったのですが、演奏会形式で、途中で飲まれるお水の量が半端ではなかったことがちょっと気になってしまいました。

もし一昨日のような本番の舞台だったら、水分補給はどうするのかな…などと考えてしまったのです。

昨日のクルヴェナール(マルクス・アイフェ)の声の響きが素晴らしすぎて、家臣には思えませんでしたが、ワグナー・ガラでヴォータンを歌われるので、そちらも楽しみです。