昨日の朝刊を開いた時に目に留まった文字です。

作家の久田恵さんと歌手の加藤登紀子さんの対談です。

この記事は  『人生100年の歩き方 』という表題がついている特集記事です。

月曜掲載  加藤さんとの対談は計4回で、これが3回目のようです。

近頃こういう文章に心が留まるようになってきてしまいました。

〜「人生4幕」秋からがいい   〜  という文章にドキッとしたわけです。

物事の始まりとしていわれる季節は いつも春だからでしょうか。

秋?という意外な気持ちがあったからのようにも思います。

加藤さんがおっしゃった言葉。

〜「人生4幕」と考えているの 〜

0歳からが第1幕。25歳からが第2幕。50歳からが第3幕。75歳から第4幕と考えていらっしゃるそうなのです。四半世紀ごとに区切りをつけてこれは春夏秋冬とも重なるかと思われたそうです。

50歳になる少し前、夏が終わって秋が始まると感じ、涼風が吹いてきて、これからが自分のための人生だと感じたそうです。〈百万本のバラ〉は1987年に発売したそうです。

 

「人生は秋からがいいのよ。ふと涼しくなって汗臭い感じが消える。」

 

加藤さんは現在80歳。

久田さんが加藤さんに「冬はどんな感じですか?」とお訊きになるのですが、この答えがまたずきッときました。

「木々が立ち枯れて見晴らしがいいのよ。自分の歩みがクリアに見えてくる」

 

うーん。すごい!

 

「冬は春のためにある」一生懸命にものごとを見つめて、伝えていきたいと思っている。今までジグソーパズルのピースをはめてきたけれど、おおかた終えて、おぼろげに全体像が浮かんできた。残りのピースでやるべきことはこれかなと見えてくるようにもなった〜

 

そうか自分の歩みがクリアに見えてくるってそういうことなのか…………

 

こういうことが言える方なのだなあ。

加藤さんは、学生運動が華やかなりし頃、一種のシンボルような方でした。

歌姫であると同時に、学生運動のリーダーの1人の方と結婚され、お子さまを育て、歌手として歌を歌い、農場を経営されてきたわけです。

人生第2幕の夏の時は、本当に汗をかきかき歩んでこられたように思います。

そんな人生の歩みがあってこそ、涼風が吹いてきたと感じ、秋の季節は自分が思ったように生きられた時であったようにも思います。

秋風は寂しい風ではなかったとの思いは、そうやって生きてこられたからの感覚でしょう。

 

そして冬の季節を迎えて、自分がどういう方向へ進んだら良いかがクリアになってきたとのこと。

彼女のファンであったわけでもないのですが、気がついたら同じ時代を生きてきた先輩のような気持ちがしているのです。

自分が自分の思ったように生きられる季節の中で、どうやって生きていくかを模索している毎日ですが、そうやって忙しくできるということも素晴らしい秋の過ごし方かもしれません。

 

本日は雨の中、4月のコンサートに向けての練習日です。

あるお寺にあるホールで毎月一回開かれているコンサートの4月の部に出演することになっているのです。

昨年12月にあった高齢者向けのクリスマスコンサートで、昨年秋のコンサートに上演したモノ・オペラ・ブッファの抜粋版とクリスマスソングを演奏いたしましたが、この4月にもオファーがきた形です。

今度は春の歌を10曲以上歌いますので、歌そのものは皆さんが知っている曲ということで、〈花〉や、〈花の街〉〈おぼろ月夜〉などなど2部合唱にするものや、斉唱のままにするものなど結構練習しなければならないのですが……

明日は《マタイ受難曲》のオーケストラ合わせです。

こういう機会をいただけるのも幸せなことなのですね、きっと。