昨日は、朝からまず1ヶ月に一回のオペラ講座。
その後に急いで、この珍しい《バスティアンとバスティエンヌ》に参りました。
MOZART SINGERS JAPAN. によるプロジェクト、第5弾 ピアノ伴奏による上演でより緻密な声楽のアンサンブルをお届けする とのこと
どちらにも書きたいことがあるのですが、内容がいっぱいになりそうなので、まずモーツァルトの12歳の時に作曲されたと言われている《バスティアンとバスティエンヌ》にの上演について書いておきたいと思います。
まだ現職の時、職場に音楽好きな教師の方がいました。
ただの音楽好きではなく、普通の方の好みというのではなく、普通の方が知らないオペラが好きという方でした。(そういう自分が好きなのかもしれません。他の方が知らないことを知っている自分が好き?………)
何かの話をしていた時、「モーツァルトのオペラが好きです」とおっしゃるのです。
「モーツァルトのオペラの何が好きなのですか?」とお訊きしましたら、普通出てくる《魔笛》とか《フィガロの結婚》とか《ドン・ジョバンニ》などは1つも出てこずに、私が知らないオペラの名前をスラスラと5つぐらい挙げられたのですが、その中でかろうじて聞きとれたのが《バスティアンとバスティエンヌ》だけでした。
このオペラの名前は、モーツァルトの初期のまだ子どもの頃に作ったオペラとして、名前だけは聞いたことがあったのですが、オペラ自体は聴いたことがなかったのです。
そのオペラの名前を言われた方の奥様は、確か音楽の先生でした。
しかし並大抵のオペラではなく、スラスラとあまり知られていないオペラをあげるというような、ちょっと変わった方で、その中の何が好きなのかがよくわかりませんでした。
どちらかといえば、私が音楽の教師のくせにそんなことも知らないのか、と言いたいようなムードが漂っておりましたので、早々にお話をすることをやめました。
ただの音楽ファンというのではなく、巷に知られていない名前を上げることで、ちょっと優越感を感じられているような気がしました。
その時以来、名前しか知らなかった、この《バスティアンとバスティエンヌ》を機会があったら聴いてみたいと思っていました。
だからでしょうか、この上演を知ってすぐにチケットを手に入れたように思います。
そして念願叶って、昨日、これを聴きに行ったのです。
短い音楽劇で、大きなホールでもありませんでしたので、どういう風に工夫されて演奏されるのか、ちょっとワクワクする気持ちがありました。
そして、とても面白いと感じました。
宮本益光さんが、歌と、構成、演出をされて、今回の演奏をされていました。
司会もされつつ、いろんなお話をしつつ、ご自分も歌われ、演技なさるのです。
歌だけではなく、色々な方面の能力が高い方なのだと感じました。
このオペラだけでは、時間が短いと感じられたのか,1部は、モーツァルトが10代の時に作った、他の曲を、出演者の宮本益光さん、鵜木絵里さん、望月哲也さんがお歌いになりました。
中でも、
まあ10代といっても、11歳の時に作ったと言われる〈聖墓の音楽〉から、18〜19歳の時に作曲された曲という開きはもちろんありますが。
第2部にいよいよ《バスティアンとバスティエンヌ》だったのですが、構成を担当した宮本益光さんからお話がありました。
ヨーロッパでは子どもたちが、大人がオペラ劇場でオペラを楽しむように、人形劇、マリオネット劇場でオペラを楽しんでいる様子をお話ししていました。もちろんそのマリオネットは、オペラに合わせて上演されるもので、今回はマリオネットの人形の代わりに、バレエを入れたとのことでした。
それもこのオペラを作曲したモーツァルトと同じ年齢の少女が踊るとのことで、その発想がとても面白かったのです。11、12歳あたりのお2人が バスティアン とバスティエンヌ役を踊られるのです。
歌手の方は、舞台上手に設えられた椅子に座って歌われたり、台詞を喋られたりなさるのです。
時には一緒に演技をされたり……
まあ、バレエの方はその内容に合わせて当て振りのような感じの部分もありましたが、バレエの振り付けもちゃんとされているので、見応え聴きごたえがありました。
バレエのバスティアン役、バスティエンヌ役の2人もバレエもお上手でしたし、その他演技をするところも本当によくお稽古されていたのでしょう。表情もよく、お上手でした。
その他、羊役の小さいお子さんも精一杯(3歳から5歳くらい?)演技されていて、このステージを盛り上げていらっしゃいました。
こういう形のこういう上演も良いですね。
もちろん決して手を抜いているわけではありません。1つ1つがよく考え抜かれていて、わかりやすく、楽しむことができるオペラの上演でした。