地元と密着したオペラをつくりたいという考えのもとに、何年か前から初夏の頃には《フィガロの結婚》、冬には《蝶々夫人》の演目と年2回上演し続けている団体のようです。

東京23区は、区民オペラ、地方では、市民オペラ、県民オペラという形のものがあるのに、東京のど真ん中、千代田区に区民オペラがなかったそうで、主催の方はこちらにもオペラを作りたかったそうです。

オペラ・デイ・東京という団体主催。今回は合わせて内幸町ホールも主催になったようです。

 

〜オペラを観劇する前に多少の知識が必要となります。それならば、演奏とともに場面に応じてわかりやすい解説を加え、オペラの魅力をどなたにも身近に感じていただける機会を増やしたい〜

とのこと。

全曲をエレクトーン2台で伴奏するのですが、指揮者もいますし総監督、演出助手までいるのです。コーラスも コーロ・フィガロ&千代田区民ということで、公募したそうです。

冬の《蝶々夫人》のコーラスも、もう一杯になりそうだとのこと。

 

エレクトーンの演奏はとてもお上手なのですが、やはり時々生の声と一緒に聴くと金属的な響きに聴こえることがありました。

しかしあれだけの音の響きを出せてしまうことが、すごいことだと思いました。

割合小さめのホールなのですが、響きは余韻がほとんどないデッドなスペースでした。

そのせいか、特にレチタティーヴォのところなどに、生の声だけではない響きが入っているように思いました。(機械で増福されたような響きがきこえたように思ったのですが……私の耳だけかもしれませんが)

 

つまりほんとうの生声ではなかったように思いますが、どの方もレチタティーヴォもアリアも聴こえないということはありませんでしたし、もちろんプロの歌手たちなのですし、演出の方もいらっしゃるわけですからよくわかりますし、細かいところまでよく考えてあったように思いました。そしてお客様も個人的なお知り合いが多かったのでしょうか、どうも歌の内容とかとあまり関係がなく、「ブラヴォー」の声がかけられていたようにも思います。何か寄席の雰囲気と申しますか。

そんな和気あいあいとした雰囲気でした。

いつも新橋から日生劇場まで歩いていく道の途中にあって、時々どんなホールなのだろうな?と思っていたホールでした。東京のど真ん中にあるホールですが、今回初めて行かせていただきました。

同じ演目を何回も違うキャストで演じていらっしゃるのだと思います。

ですので、演技の形やタイミングや、道具だてなどもよく考えられていて、スムーズだったように思います。

だいたい同じ演目で別キャストで3日間公演という形のようです。きっとそれぞれの個人のファンのお客さまがいらっしゃるのだと思います。

お子さまもいらっしゃったと思いますが、それぞれがそれぞれの感覚で楽しく拝見できた公演でした。

それぞれの歌手の方も熱演でしたが、スザンナ、伯爵夫人、マルチェリーナの方のお声がちょっと似ている感じで、(もちろん声域は違いますが) きっとキャストを選ばれた方がお好きな声の感じなのかな……などと思いました。(ケルビーノも発声的に似ていました……)

皆さんデッドな響きの場所なので、ご自分の声を目一杯響かそうとされて、太めの声で力が入ってしまうからなのでしょうか。またそれをPA(この存在はよくわかりませんが)で拾ってしまうので、似たように聴こえてしまうのでしょうか。

それがちょっと難しいところだなあと思いましたが……

しかし、演じている方も、お客様も楽しい気持ちで聴き終わることができたように思いました。

(私も楽しかったですよ……)