朝一番で髪の毛をカットに行きました。その後お弟子先生のレッスンに行き、上野に向かいました。

 

一昨日に夜に電車に乗ったばかりでまた連日来ました、上野。

 

今回のトスカの座席は、なんと文化会館の5階席なのです。

 

今回の春祭は《仮面舞踏会》から始まって、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》ときて、とうとう《トスカ》まで来てしまいました。《ドイツレクイエム》や《ブリン・ターフェルのオペラナイト》もありました。

歌曲のコンサートも美術館と博物館のものを聴くことができました。

今年も慌ただしい春祭でしたが、歌のものを中心に楽しむことができました。

やはりこれだけ集中してくると、この最後の《トスカ》はちょっと経済的な都合で、5階席になってしまいました。ムーティの時にはちょっと頑張って1階席でしたが………

(こういう時はもっとお金持ちになりたいと常々思いますが………。身の丈に合った楽しみ方をするということも大切なことなのでしょう。)

でも5階席は5階席なりの楽しみ方があるのです。

 

慌てて家をでてきてしまったので、オペラグラスを忘れてしまったのが残念ですが………

演奏会形式でもありますし、よしとしましょう……

 

カヴァラドッシ役を歌うはずであった、ピエロ・ブレッティさんが健康上の理由で、イヴァン・マグリさんに変更になったとのことでした。急に出演が決まったことが原因なのだと思われますが、カヴァラドッシだけが譜面台の前からほとんど動かない、動けない形なのです。

他の方は、もちろん暗譜で簡単な演技をしながら歌われるのです。もちろん状況によって位置も動かれます。きっと持ち役として磨かれてきた役柄なのだと思います。

ステージへの登場も、最初からステージにずらっと並んでいるのではなく自分の役が舞台に登場する時に、出ていらっしゃいますし、いなくなる時も袖に入られるのです。

何しろ今回は L側にいるので、彼の譜面台が向かって左寄りに据え付けてありますと、よく見えないのです。他の方は動きますが、彼はほとんどその譜面台の前の位置から動かないので、もう座席から覗き込みたくなるのですが、私が動いて覗きこむと、後ろの列の方がもっと見えないだろうなと思うので、少々背中を離してみるぐらいのことしかできないのです。

もう、しょうがないとは思いつつ、他の方がみんな演技を身につけて何回も歌っていらっしゃって自分なりの形ができていて、ステージを自由に動き回っているのです。

そういった中で、いくらここぞというところで声を出しても何となく一歩引いた感じが伝わってきてしまうのです。

今回の《トスカ》はスカルピアあってのものだった印象が強かったですけれども………

演奏会形式でオーケストラがステージに乗っているからでしょうか。

何しろオーケストラの音楽が、普通の倍以上の力があふれ出るように思うのです。

常に読響の演奏を聴いているわけではないのですが、指揮者の後ろ姿からこの《トスカ》という話が見えてくるといいますか、聴こえてくるのです。

ここではこんなに低音の響きが出ていたのかとか、思いもかけない楽器の活躍とか、つぶさに5階のてっぺんに立ち上ってくる音を楽しんでいるのです。

4人のホルン奏者の音が揃っていたし………そんな音が立ち上ってくる楽しみがあるのです。

 

【指揮】フレデリック・シャスラン

【トスカ】クラッシミラ・ストヤノヴァ  【 カヴァラドッシ】イヴァン・マグリ 【スカルピア】ブリン・ターフェル  【アンジェロッティ】甲斐栄次郎  【堂守】志村文彦  【スポレッタ】工藤翔陽    【シャルオーネ】駒田敏章    【 看守】小田川哲也    【 羊飼い】東京少年少女合唱隊メンバー   

 

管弦楽: 読売日本交響楽団

合唱   :東京オペラシンガーズ

児童合唱:東京少年少女合唱隊

合唱指揮: 仲田淳也

児童合唱指揮 : 長谷川久恵

 

堂守役の志村さんは本当に何度もこの《トスカ》オペラので拝見拝聴させていただいています。

カヴァラドッシとの一幕めのやりとりも存在感がありすぎるくらいでしたが、ブリン・ターフェルのスカルピア  とやりとりをすると、圧倒的な強さに押されて見えるから不思議です。

 

2幕目でトスカと緊張感溢れるやりとりの最中一箇所 「うん?」と思われる声がありましたが、スカルピアの存在感が終始演奏を前へ推進させて、トスカ役のストヤノヴァ さんもかなり触発されたのか、緊張感のあるやりとりを聴くことができました。

指揮のシャスランさんも、ガンガンオーケストラの存在感を示していました。

あの音を突き抜けて声を出すのは「結構大変そうだなあ」と感じましたが………

 

5階に立ち上がってくる音を聴きながらちょっとワクワク、ウルウルしました。

こんな気持ちは近頃久しぶりだったようにも思います。また、ワグナーのものとは違ったプッチーニの醍醐味のようにも思いました。